2023 Fiscal Year Annual Research Report
基部陸上植物ゼニゴケの胞子をモデルとした単細胞における不等分裂メカニズムの研究
Project/Area Number |
22KJ2244
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
酒井 友希 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 不等分裂 / ゼニゴケ / 胞子 / 低分子量GTPase |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、陸上植物進化の基部に位置する苔類ゼニゴケ(Marchantia polymorpha)をモデルに、植物の単細胞における細胞自律的な不等分裂の分子メカニズムを解明することを最終目的とした。ゼニゴケの個体発生開始点である胞子では、第一分裂によって分裂活性を維持した大細胞と分裂活性を失った小細胞を生じる。申請者は、不等分裂に先立って核が細胞中央から辺縁部へと細胞骨格依存的に移動することを見出していた。胞子における遺伝子発現プロファイルからゼニゴケに唯一の低分子量GTPaseであるMpROPの関与が示唆されたことから、胞子の第一分裂におけるMpROPの機能について検証した。 最終年度は、エストロゲン誘導性プロモーター(proMpE2F:XVE>>)の制御下でMpROP遺伝子をターゲットにした人工マイクロRNA(amiRNA)を発現する形質転換体の胞子において、エストロゲン処理によりMpROP遺伝子の発現量を低下させた場合、胞子の第一分裂の非対称性が失われ娘細胞がいずれも分裂活性を維持していることを明らかにした。この結果は、すでに得られていたドミナントネガティブ型MpROP T20N過剰発現株を含む一部の胞子で発芽が異常であるという結果と一致しており、胞子の第一分裂をMpROPが制御していることが明らかとなった。さらに、分裂を誘導した胞子におけるscRNA-seq解析と胞子集団における経時的なRNA-seq解析のデータを統合的に解析した。これらの研究を通じて、胞子が吸水し発芽する過程での細胞レベルでの遺伝子発現の経時変化とROPシグナリングによる不等分裂制御機構の一端が明らかとなった。
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Research Products
(4 results)