2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J00345
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤倉 浩平 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 宇宙論 / 相転移 / 臨界現象 / 素粒子標準模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の当該年度の目標は、標準模型を超える新しい物理で起きると期待される宇宙論的相転移を普遍性の仮定の下に解析することです。本年度では、特に標準模型のHiggs粒子を複合粒子とするcomposite Higgs模型で起きる宇宙論的相転移について焦点を当てました。当初の研究計画通り、composite Higgs模型で起きるカイラル対称性の破れを実現する線型シグマ模型を構築し、その有効理論を用いてくりこみ群の解析を用いることで相転移の次数について議論いたしました。解析の結果、複数のcomposite Higgs模型では、熱揺らぎによって一次相転移が実現されることを示唆しました。また、当初の研究計画にはなかったcomposite Higgs模型で起きると期待される新しい強結合のゲージ理論に伴う閉じ込め・非閉じ込めの相転移についても議論しました。この研究の論文執筆の目処が立ち、現在は論文執筆を進めています。
また、上記の研究以外にもquintessential inflationと呼ばれる初期宇宙のインフレーションのシナリオにおいて、再加熱、バリオン非対称性の生成、暗黒物質の生成、ニュートリノ振動を説明する宇宙論の模型を構築しました。具体的には、標準模型のヒッグス粒子とスカラー曲率の結合により、現在の観測と無矛盾な再加熱過程が実現されることを示しました。また、右巻きニュートリノの重力粒子生成により、現在の宇宙を実現するのに必要な量のバリオン非対称性を生成できることを示しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の一年目通りの研究を達成し、当初の研究計画にはなかった相転移についても解析をしていることを考慮し、おおむね順調にしているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、相転移の物理を熱平衡系を仮定し議論を進めていた。ところが、研究を進めていく上で、臨界点近傍で重要になり得る非平衡効果についても議論する必要があることが判明した。この効果を非平衡系の場の理論を用いて系統的に取り入れることができないか考える予定である。
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