2022 Fiscal Year Annual Research Report
衛星材料の組成進化と小天体反射特性から探る太陽系惑星軌道移動史
Project/Area Number |
22J10202
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前田 夏穂 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 惑星形成 / 衛星形成 / 惑星科学 / 巨大ガス惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
惑星は、形成後に軌道移動をすると考えられているが、太陽系における惑星の形成場所や移動経路の詳細は不明である。本研究では、巨大惑星の形成場所や移動経路を制約する手がかりとして、巨大惑星まわりの衛星形成過程(研究A)と、小惑星帯-木星軌道間の小天体の反射特性とそこから推察される組成の混合過程(研究B)に着目している。研究Aに関しては、巨大惑星の衛星材料物質の組成進化を数値計算し、衛星材料に氷成分が保持される条件を調べることを目的としている。研究Bに関しては、すばる望遠鏡と広視野撮像カメラHyper-Suprime Cam(HSC)を用いて小惑星帯-木星軌道間の小天体の反射特性を調べ、過去に惑星移動に伴って生じたとされる小天体の混合過程に対して制約を与えることを目的としている。最終的に、これらの理論研究と観測研究の成果を踏まえ、それらを矛盾なく説明可能な惑星移動シナリオを構築することを目的としている。 当該年度は、研究Aに注力して研究を進めた。周惑星円盤への衛星材料粒子供給過程の数値計算を行うためのコード開発の前段階として、(1)惑星まわりの数値流体計算を行い周惑星円盤へのガス降着の惑星質量依存性を詳細に調べた。また、(2)得られた周惑星円盤へのガスの流れを考慮して、固体粒子の周惑星円盤への供給過程の軌道計算を行い、周惑星円盤へのガス・微小粒子供給量とその惑星質量依存性を調べた。(1)の成果は査読付き欧文誌へ出版済みである。(2)の成果は現在査読付き欧文誌への投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、当該年度中に、周惑星円盤への衛星材料粒子供給過程の数値計算コードに粒子の氷成分の昇華モデル(D’Angelo & Podolak 2015)を実装・数値計算を実施し、周惑星円盤に供給される過程における衛星材料粒子の氷含有量の変化と周惑星円盤内の氷供給量の分布を調べる予定であった。しかし、その前段階である、粒子の成分を考慮しない場合の周惑星円盤への固体粒子の供給過程に関する研究を論文としてまとめる際に時間がかかってしまったため、まだ着手できていない。また、上記の理由から、すばる望遠鏡を用いた小惑星帯-木星軌道間の小天体の反射特性に関する研究も進捗が芳しくない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究Aに関して、まず、粒子の成分を考慮しない場合の周惑星円盤への固体粒子の供給過程に関する研究を論文としてまとめ、投稿・出版することを優先し、年度前半の出版を目指す。並行して、周惑星円盤への衛星材料粒子供給過程の数値計算コードに粒子の氷成分の昇華モデル(D’Angelo & Podolak 2015)を実装・数値計算を実施し、周惑星円盤に供給される過程における衛星材料粒子の氷含有量の変化と周惑星円盤内の氷供給量の分布を調べる。研究Bに関しては、まず研究Aを優先的に進め、ある程度まとまった結果が出てから着手することで、散漫になりすぎず当該年度中にある程度の結果を出せるようにする。
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Research Products
(4 results)