2023 Fiscal Year Annual Research Report
衛星材料の組成進化と小天体反射特性から探る太陽系惑星軌道移動史
Project/Area Number |
22KJ2256
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前田 夏穂 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 惑星 / 衛星 / 太陽系 / 小惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、昨年度までの研究(Maeda et al. 2022)で得られた惑星まわりのガスの流れ場を用いてガス抵抗力を考慮した固体粒子の軌道計算を行い、周惑星円盤へのダスト降着の惑星質量依存性を調べた。最近の研究により、周惑星円盤内での微衛星・衛星形成には「周惑星円盤に降着するガス中に含まれるダストの割合(ダスト・ガス降着率比)」が重要であることがわかっている。そこで、本研究の結果を元にダスト・ガス降着率比を求める際に必要な「降着ガス流のダスト保持度」に着目し、その惑星質量依存性を数値計算結果と準解析的アプローチにより求めた。得られた周惑星円盤への衛星材料供給量の惑星質量依存性をもとに周惑星円盤内での衛星形成に関して考察を行った。ここまでの成果をまとめ、国内学会での発表や、査読付き欧文誌での論文投稿を行った。投稿論文は現在査読を経て改訂し、間もなく再投稿予定である(Maeda et al. 2024 in revision)。 また、上記の研究結果と、すばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam の観測データ解析によって得られた小惑星のカラー・サイズ分布から、太陽系形成過程に関して統合的な考察を行った。 隕石に含まれる同位体の測定から、初期の太陽系において「NC」と「CC」の2種類の組成の固体成分が同時期に存在し、原始太陽系円盤は初期に何らかの要因により空間的に二分されていた可能性が指摘されているが、その要因として巨大惑星の形成に伴う原始太陽系円盤へのギャップやリングの形成が考えられる。これまでのデータ解析から、NCとCCのサイズ分布は0.4-5 kmにおいてよく似ていることが明らかとなり、これは、NC、CCの力学的ふるまいの類似性を示唆する。これと巨大惑星の成長・軌道移動とを統合的に考察することにより、今後の太陽系形成・進化過程の解明において重要な制約を得た。ここまでの成果を学位論文としてまとめた(前田夏穂、2024、神戸大学博士学位論文)。
|
Research Products
(6 results)
-
-
[Journal Article] Photometry and Polarimetry of 2010 XC15: Observational Confirmation of E-type Near-Earth Asteroid Pair2023
Author(s)
Beniyama, J., S. Sako, K. Ohtsuka, T. Sekiguchi, M. Ishiguro, D. Kuroda, S. Urakawa, F. Yoshida, A. Takumi, N. Maeda, et al.
-
Journal Title
Astrophysical Journal
Volume: 955
Pages: 143
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-