2023 Fiscal Year Annual Research Report
政権安定化の手段としての中国対外プロパガンダ:理論と実証
Project/Area Number |
22KJ2257
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
周 源 神戸大学, 法学研究科, 助手
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 中国政治 / プロパガンダ / ゲーム理論 / テキスト分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、中国の対外プロパガンダ攻勢が世の中の関心を集めている。従来の研究では、ソフトパワーの視点から国家の対外発信活動を考察するものが多い。ソフトパワーの理論によると、対外プロパガンダの効果は、その内容の説得力に依存している。しかし、習近平時代の中国の対外プロパガンダは外国を批判したり、圧力をかけたりすることが多い。このようなプロパガンダは説得力が低く、しばしば国際社会からの反発を引き起こしている。多くの研究者は、中国の攻撃的な対外プロパガンダを「戦狼外交」と揶揄する。私の博士論文は、中国の権威主義体制が対外政策に与える影響という視点から、「中国はなぜ戦狼外交を行うのか」という問いに取り組む。具体的には、ハード・プロパガンダ、ナショナリズムと正統性、そして官僚政治という3つのメカニズムを提示し、中国の対外プロパガンダ戦略を理論と実証両面から分析した。 博士論文のほか、ネバダ大学リノ校のXiaoyu Pu准教授、ダートマス大学の Charles Crabtree 助教授などのアメリカの研究者と共同研究を行い、Journal of Human RightsやJournal of Chinese Political Scienceなどの国際学術誌に論文を刊行している。なお、2023年8月には、神戸大学で「中国メディア研究会」というワークショップを企画し、日本における中国のメディアと政治を専門とする研究者を招き、研究報告を行った。これらの報告は、中国のメディア戦略やプロパガンダの現状および将来的な影響を探る基盤を築く役割を果たしている。これらの研究活動を通じて形成された研究者ネットワークは、将来の研究において重要な役割を果たすことが期待されている。2023年8月31日には、研究活動スタート支援の交付を受け、特別研究員奨励費の目的は達成された。
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