2022 Fiscal Year Annual Research Report
縄文海進時に対馬海流が北海道東部に到達?~海と陸の古環境指標からのアプローチ~
Project/Area Number |
22J11910
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
酒井 恵祐 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 縄文海進 / 花粉分析 / 有孔虫分析 / 対馬海流 / 古環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,研究期間の内に,現在より温暖だったと推定される縄文海進の年代を含む汽水湖の堆積物を高時間解像度で連続的な古環境復元を行い,先行研究(貝化石分析)で分かっている“縄文海進時に対馬海流が北海道東部に到達していた”ことについてはじめて高解像度で検出することを目的としている.現在は,先行研究において対馬暖流が最後に到達したと推定される釧路市に位置する春採湖の花粉と有孔虫分析を約100年間隔で行い,縄文海進時の温暖期の陸域と海域の環境を復元している. 2022年度は,有孔虫試料については数点の分析を行い,有孔虫化石の有無を確認し,小さい個体ではあるが,堆積物中に残されていることを確認した.また,小さな個体を中心に電子顕微鏡を使用し,有孔虫の写真撮影を行い,同定を進めている.現在も継続して有孔虫分析を実施している. 花粉分析については,縄文海進時の年代を含む試料において約100年間隔で分析し,陸域の古環境を高時間分解能で復元することができた.予察的ではあるが,縄文海進時の温暖期の植生変遷を先行研究より詳細に復元できた.本研究目的を達成するためには今年度得られた春採湖の結果だけでなく,地域間での結果比較が重要である.そこで今年度は,道東地域において追加試料となる約6メートルの堆積物コアを採取できた.こちらの試料の分析も進め,地域ごとの結果を比較検討することを目指す. 本研究の花粉分析の内容については,日本地球惑星連合大会・日本第四紀学会等で発表を行うことができた.また,現在論文化を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に春採湖の花粉・有孔虫分析を実施する予定であったが,花粉含有量が少なく花粉分析に時間を要した.また,花粉分析はやや遅れながらも本年度中に実施することができたが,有孔虫については比較的小さな個体が多く,分析に電子顕微鏡を用いているため,時間を要し,やや遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,春採湖の有孔虫分析を行い,陸域と海域での縄文海進時の環境変動の比較検討を行う.また,春採湖の花粉分析は上部(現在から3,000年前)が欠損しており,そこを補填するために,春採湖で既に得られた上部を補填できる堆積物の分析を行う予定である.既に採取され,保管されている堆積物のサブサンプリングを行い,花粉分析を実施し,陸域については,現在から1万年前まで復元を目指す.また,前年度得た道東の堆積物においても分析を進める予定である.
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