2023 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトにおけるbFGFシグナルを介した神経炎症病態制御機構の解析
Project/Area Number |
22KJ2269
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 祐紀 神戸大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | アストロサイト / Ror2 / bFGF / 神経炎症 / グリア細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系が損傷などによって傷害を受けると、免疫細胞の活性化によって神経炎症が生じる。神経炎症において、グリア細胞であるアストロサイトは、活性化し、脳機能の保護にはたらくことが知られているが、その分子機序については不明な点が多い。 我々はこれまでに、Rorファミリー受容体であるRor2が、損傷部位近傍のアストロサイトにおいて発現誘導されることを見出していたが、神経炎症における機能は不明であった。 本年度は、炎症性サイトカインIL-1bと増殖因子bFGFの共刺激が、アストロサイトにおけるRor2の発現を相乗的に誘導することに着目し、損傷部位近傍で発現するRor2陽性のアストロサイトの機能について解析を行った。 損傷を受けたマウス脳内において、アストロサイト特異的にRor2の発現抑制を誘導するための実験系を構築した。具体的には、GFAPプロモーターの下流でshRor2を発現するアデノ随伴ウィルスベクターを作製した。側脳室へのウィルス投与後、外傷性脳損傷モデルを用いて損傷を誘導した結果、Ror2の発現抑制によって脳内出血の程度が増加した。Ror2による脳内出血の制御には、酸化ストレス応答の制御因子であるNRF2が関与しており、Ror2は、NRF2の安定化に関わるp62を制御していることを見出した。これらにより、Ror2-NRF2シグナルは、脳損傷を受けたアストロサイトにおいて、脳を出血による傷害から保護していることを明らかにした。以上の成果を、共著者としてGlia誌において発表した。
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