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2022 Fiscal Year Annual Research Report

軽度知的障害のある青年の「ふつう」志向性について:障害受容論への新展開

Research Project

Project/Area Number 22J20964
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

生田 邦紘  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2022-04-22 – 2025-03-31
Keywords普通 / ふつう志向性 / 障害受容 / 軽度知的障害 / 青年 / 特別支援教育 / 教師
Outline of Annual Research Achievements

本研究は,軽度知的障害のある青年の障害受容について,ふつう志向性の変容に焦点を当て,検討することを目的としている。具体的には,「ふつうになりたい」という気持ちが変容するプロセスや,その気持ちに影響を与える要因を明らかにする。2022年度は,3つの研究を実施した。
研究1:教師へのインタビューから,軽度知的障害のある青年の障害受容の困難の変容プロセスのモデルを生成した。特別支援学校教師21名に一対一の半構造面接を行ったデータから,修正版グラウンデッドセオリーアプローチ(M-GTA)を用いて分析した。その結果,教師は,ふつう志向性の高い生徒を障害受容の困難を抱えていると判断することが示された。本研究により,生徒本人における学校生活が充実することでふつう志向性が低減することが示唆された。
研究2:軽度知的障害のある青年における,ふつう志向性による障害受容の困難の発生とその変容プロセスを検討した。具体的には,軽度知的障害のある青年本人1名とその両親および教師を対象として,2023年6月にグループフォーカスインタビューを行った。現在,分析中である。本研究により,特別支援学校への分離によりふつう志向性が高まり,障害受容の困難が発生するプロセスを得られる見込みである。
研究3:教師を対象として質問紙調査を行い,知的障害のある青年の障害受容とふつう志向性について定量的な実態把握を行った。具体的には,2023年1月に,3つの都道府県の特別支援学校24校に質問紙調査を配布し,中等部と高等部の計319学級の担任教師の回答を得た。担任学級に在籍している知的障害のある生徒について,質問項目に当てはまる生徒の数を質問した。質問項目は,研究1の結果をもとに作成した。現在,分析中である。本研究により,どれくらいの生徒が障害受容の困難とふつう志向性の高さを呈しているのか実態を把握することが期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題について,おおむね順調に進展していると判断した理由は2つある。
1つ目は,当初の研究計画を含む3つの研究を,一部計画を変更しながら実施できたためである。
研究1:当初の研究計画では,教師の視点から軽度知的障害のある青年における「ふつう」志向性の変容プロセスを明らかにする研究では,複線径路・等至性モデリングによる分析の予定だったが,分析時に修正版グラウンデッドセオリーアプローチの方が適していると判断した。この成果は学会発表を行い,学術雑誌に投稿中である。
研究2:研究計画立案時は,研究1のみを予定していたが,研究1の結果,青年本人の語りや家族の語りの重要性が示唆された。そこで,当初の研究計画に加えて,現在は適応状態の良い青年本人と家族を対象として,「ふつう」志向性と障害受容の困難の変容プロセスを明らかにするインタビュー調査を実施した。分析過程で学会発表を行った。
3つ目:「ふつう」志向性の高い軽度知的障害のある青年の数を実態把握する研究は,研究計画立案時は青年本人に質問紙調査を行う予定だった。しかし,侵襲性の高さが指摘されたこと,コロナのため現場に訪れる機会が制限されたことにより,不特定多数の軽度知的障害のある青年への質問紙調査が困難となった。そこで,本人に尋ねるのではなく,教師を対象としてふつう志向性の高い生徒の数を把握する研究を行った。その結果,2168人の知的障害のある生徒のサンプルを集めることができた。
2つ目は,上記にも記したように,軽度知的障害のある青年本人を対象とした「ふつう」志向性の質問紙調査は実施できなかったためである。研究計画とは異なる方法で,「ふつう」志向性に影響を与える要因を実証的に検討する必要がある。来年度は,質問紙調査の再検討を含めて,本研究課題を達成できるよう努めたい。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究は次の通りである。
(1)「ふつう」志向性に影響を与える要因を実証的に検討するために,質問紙調査を行う研究計画の見直しを行う。具体的には,質問紙調査を実施するのか,異なるアプローチを実施するのか判断する。再検討の後,「ふつう」志向性に影響を与える要因を実証的に検討するという目的を達成するための研究を実施する。
(2)本年度における研究2では,青年本人と家族にインタビューを行った。来年度は,学校での様子も詳細に把握するため,教師のインタビューを追加実施する。青年本人と家族,教師の語りを分析して,論文として学術雑誌へ投稿する。
(3)本年度における研究3では,教師を対象とした質問紙調査を行った。来年度は,このデータを分析し,学会発表および学術雑誌への投稿を行う。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 軽度知的障害の障害受容における親子の変容プロセス2023

    • Author(s)
      生田邦紘
    • Organizer
      日本発達心理学会第 34 回大会 2023年3月
  • [Presentation] 軽度知的障害のある青年の障害受容:青年・家族・教師の対話の分析から2022

    • Author(s)
      生田邦紘
    • Organizer
      日本質的心理学会第 19 回大会 2022年10月
  • [Presentation] 特別支援学校教師は,軽度知的障害のある青年の障害受容をどのように捉えているか2022

    • Author(s)
      生田邦紘, 赤木和重
    • Organizer
      日本特殊教育学会第 60 回大会 2022年9月

URL: 

Published: 2023-12-25  

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