2022 Fiscal Year Annual Research Report
放射線計測を目的としたペロブスカイト型構造を有するフッ化物単結晶の開発
Project/Area Number |
21J22668
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Research Fellow |
竹渕 優馬 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ドシメータ / 単結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規の高効率なドシメータ材料の開発を目的として、フッ化物ペロブスカイト型化合物であるNaMgF3にさまざまな発光中心元素を添加した単結晶試料を作製し、そのフォトルミネッセンス (PL)、シンチレーションおよびドシメータ特性の評価を行った。Tm添加NaMgF3では熱刺激蛍光 (TSL) および光刺激蛍光 (OSL) において、Tm3+の4f-4f遷移に由来する発光を観測した。TSL線量応答特性では0.01 mGy以上の線量に対して感度を持つことを明らかにし、電子部品のX線透過画像の撮影にも成功した。Ce添加NaMgF3ではOSLにおいてCe3+の5dー4f遷移に由来する発光を観測することができた。その発光強度は市販のドシメータ材料であるC添加Al2O3よりも高いものであることを確認した。一方でこれらの試料はTSLでは100C°以下の低温領域にグローピークを有することを確認した。Ce添加NaMgF3においてフェーディング特性を測定したところ放射線照射から2週間後で40%程度の発光強度の減衰が観測された。個人被ばく線量計としての応用を考えた際にはフェーディング特性の改善が必須である。本研究で作製した試料は発光中心元素が完全には固溶されておらず、試料の白濁が見られた。そのため透明性の低下による発光強度の低下が起こっていると考えられる。試料の作製方法を改善し透明性を向上させることで発光強度の向上や3D線量測定への応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作製した試料は高い発光強度を有していたものの、添加物が完全には固溶されておらず、半透明体となってしまった。3D線量測定への応用を行う際には完全な透明体が好ましく、試料作製方法に改善の余地がある。
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Strategy for Future Research Activity |
試料作製時の温度条件などの検討を行う。またこれまでに行ったCe、Tm以外の添加物も検討することで、母材に固溶されやすい添加物の探索を行う。
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