2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着性膜タンパク質を搭載したエンベロープ型人工ウイルスキャプシドの構築
Project/Area Number |
21J21251
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
古川 寛人 鳥取大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | エンベロープ型ウイルスレプリカ / β-Annulus / 無細胞タンパク質発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、以前報告したインフルエンザウイルスなどのエンベロープ型ウイルスを模倣したエンベロープ型ウイルスキャプシド表面に細胞間でギャップジャンクション構造を形成し、分子輸送を行う膜タンパク質コネキシン(Cx43)を搭載したエンベロープ型ウイルスレプリカの構築及びCx43発現ジャイアントリポソーム(GUV)及び細胞への効率的な分子輸送の検討に取り組んだ。無細胞タンパク質発現系を用いてエンベロープ上へCx43の発現及び搭載を行った。その結果、ウエスタンブロッティングにより発現を確認し、蛍光標識抗体を用いたFCS測定、金ナノ粒子標識抗体を用いたTEM観察によりエンベロープ上への搭載が示唆された。興味深いことに、発現量を増やすとエンベロープ型キャプシド同士でギャップジャンクションを形成したようなTEM像も観察された。さらに、蛍光小分子TMRを内包したCx43搭載ウイルスレプリカを作製し、Cx43発現GUV及びCx43発現細胞であるHepG2細胞への分子輸送を検討した。その結果、Cx43未発現ウイルスレプリカと比較してGUV・細胞内で有意に高い蛍光強度の増加が、CLSM観察及び画像解析により確認され、ギャップジャンクション阻害剤による分子輸送の抑制も確認された。以上の結果より、Cx43搭載エンベロープ型ウイルスレプリカを用いたギャップジャンクション選択的な分子輸送に成功したことが言える。今後さらなる検討により、Cx43搭載エンベロープ型ウイルスレプリカを利用した様々な機能分子のGUV・細胞内輸送が達成されることにより、新規分子輸送キャリアとして様々な分野への応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究実施計画と異なる内容であったが、昨年度、機能性タンパク質であるコネキシンを搭載したエンベロープ型ウイルスレプリカを利用し、コネキシン発現したジャイアントリポソームや細胞選択な分子輸送に成功したことは本研究課題を大きく前進させた進捗であると考えている。この成果を得るまでに得られた知見や技術は今年度予定している研究内容に直結するものであり、今後大変興味深い研究成果が得られることが期待される。 また、昨年度の研究成果が国際誌に掲載され、カバーアートがFront coverに採択された点や多くの国内外の学会で研究発表ができた点も本研究課題がおおむね順調に進展していることを裏付ける理由の一つであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、今年度はより簡便なセルフアジュバントシステムの構築を指向した抗原及びアジュバント搭載エンベロープ型ウイルスレプリカの構築を検討する。この複合体の作製法や形成評価方法は昨年度行った研究と同様の装置・実験操作で行うことが可能である。さらに、モデルマウスを利用した実験などは大阪大学の深瀬研究室や、東海大学の亀谷研究室との共同研究として行っていただく予定である。このように、昨年度の知見・技術を生かし、所属研究室で行うことができない実験は他大学との共同研究により今後の研究を推進させる。
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Research Products
(10 results)