2023 Fiscal Year Annual Research Report
冷却極性分子を用いた電子の電気双極子モーメント測定による時間反転対称性の検証
Project/Area Number |
22KJ2300
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平本 綾美 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 冷却分子 / 電気双極子能率 / 光検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
ACME実験は極低温に冷却したThO分子ビームを用いて、電子の電気双極子モーメント(eEDM)を探索する実験である。2018年に世界最高精度でeEDMに対する上限値を与えたのち、その感度をさらに30倍にするため装置全体のアップグレード(ACME III)を行なっている。本研究では期間全体を通して、アップグレードの一環として採用される光検出器Sillicon Photomultiplierモジュール(SiPMモジュール)の開発および現地での運用を行なってきた。開発したSiPMモジュールは従来ACMEで用いられていた検出器に比べ2.7倍の検出効率をもつことが確認されている。2023年度には8台のSiPMモジュールを量産・インストールし、その後は安定したオペレーションやデータ取得のための準備を行なってきた。 最終年度は実験サイトであるNorthwestern大学に長期滞在し、インストールしたSiPMモジュールを用いてThOビームからの信号の観測に取り組んだ。共同研究者と協力し2024年2月までにACME IIIに用いられるほとんどすべてのパーツのインストールを完了した。その後ACME IIIビームラインではじめてThOビームからの信号の観測に成功し、その際に観測された信号レートはアップグレードで想定していた統計量の向上と一致するものであることを確認した。今後はこれらの装置を用いて系統誤差スタディを行い、eEDM探索に向けたデータ取得を行う計画である。
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[Journal Article] ThOビームを用いた電子の永久電気双極子能率とそれに用いる光検出モジュール2023
Author(s)
増田孝彦、平本綾美、笹尾登、植竹智、吉村浩司、Daniel G. Ang, John M. Doyle, Zack Lasner, Cole Meisenhelder, David P. DeMille, Zhen Han, Peiran Hu, Xing Wu, Collin Diver, Xing Fan, Gerald Gabrielse, Siyuan Liu, Maya Watt, Nicholas R. Hutzler, Cristian Panda
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Journal Title
日本電気学会電子回路研究会
Volume: ECT-23-053
Pages: -
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