2023 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of n-O Reaction Model and Search for Supernova Relic Neutrinos in the Super-Kamiokande
Project/Area Number |
22KJ2301
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
酒井 聖矢 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 超新星背景ニュートリノ / スーパーカミオカンデ / SK-Gd実験 / NCQE反応 / 核子-原子核反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
スーパーカミオカンデガドリニウム(SK-Gd)実験の超新星背景ニュートリノ探索において大気ニュートリノと酸素原子核の中性カレント準弾性散乱(NCQE)反応が主な背景事象となる。NCQE反応数を正確に見積もるためには核子-原子核反応によって発生する脱励起ガンマ線の数やエネルギー、中性子の数の理解が必須となる。 今回、552.2日分のGd質量濃度0.011%の観測データからNCQE事象を選別し、核子-原子核反応モデルの比較および大気ニュートリノ-酸素原子核NCQE反応断面積の測定を行った。系統的なモデルの比較およびSK-Gd実験におけるNCQE反応断面積の測定は本研究が初であり、これらは1-2年目に行ったGeant4ベースのシミュレーションの性能評価およびその実用化によって生まれた業績である。 まず、現時点でSKの公式モデルであるBertini Cascade ModelとBinary Cascade Model (BIC)、Liege Intranuclear Cascade Model (INCL++)の3つの核子-原子核反応モデルで、再構成チェレンコフ角度分布、再構成エネルギー分布、中性子の数分布の比較を行った。その結果、どの分布においてもBICとINCL++で使用されている脱励起モデルが観測データをより再現することを示唆した。また、NCQE反応断面積を測定した結果、理論予測値およびGd導入前の先行研究の結果と誤差の範囲内で一致した。さらに、本解析に約4年分のGd質量濃度0.03%の観測データを組み合わせることで脱励起モデルを確定し、NCQE反応断面積の系統誤差を削減できる可能性があることを示した。これらの結果および考察をSK-Gd実験グループの全体会議や国内会議、国際会議、学術論文で発表した。そして、上記の結果および考察を学位論文にもまとめ、博士号を取得した。
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