2023 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺: 粘液腺と漿液腺の分化スイッチをつかさどる遺伝子群の同定
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22KJ2303
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
皆木 瞳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 唾液腺 / 発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
もっとも再生困難な臓器の一つと言われているのが唾液腺であり、一度機能が落ちると元に戻ることはできないといわれている。申請者は発生メカニズムの解明と再生を目指し口腔乾燥症への新たな道を拓くことを目指している。 本研究では外胚葉、内胚葉、中胚葉の3胚葉に由来を持つSox1, Sox17, T/Brachyuryの3つの遺伝子をそれぞれ違う蛍光色素でコードしたTRiCK(TRiple Coloured germ layer Knock-in) マウスを用いて、涙腺を含めた外分泌腺の発生起源を明らかにした。外胚葉由来細胞のcell lineage解析を行う。以上の内容をThe Germinal Origin of Salivary and Lacrimal Glands and the Contributions of Neural Crest Cell-Derived Epithelium to Tissue Regeneration. Int J Mol Sci.誌に 2023 Sep 5. に掲載された。本研究では3胚葉の発生に加えて、神経堤由来の細胞が唾液腺上皮に分布していることを明らかにした。 それらの見識をもとに粘液腺と漿液腺はそれぞれ舌下腺と耳下腺に代表されるが、それぞれの発生過程で分化する上で必須となる転写因子のスイッチを解明したいと考えている。その方法としては胎仔唾液腺を用いて粘液腺と漿液腺を採取し、発現RNA解析(scRNA-seq)を行い各唾液腺において発現の高いあるいは低い転写因子を見つけ出すことで、発生初期におけるスイッチのオン・オフ遺伝子を見出す。最終的にはその遺伝子を用いて、口腔粘膜上皮から生理的機能を有した粘液腺・漿液腺へ誘導を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は上記の論文以外に Evaluation of oral care using MA-T gel for high-risk patients: a pilot study. をBMC Oral Health.誌に掲載された。またそれ以外にも国際学会、国内学会で発表を行った。5月に岡山で開催された日本口腔科学会では優秀ポスター発表賞を受賞するなど、本年度は研究が進捗し、発展した一年であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は岡山大学から拠点を米国National Institute of Health(NIH)に拠点を移し、研究推進を行っている。米国NIHへ直接出向いて研究を実施する理由については、Dr. Chioriniに指導を仰ぎたいからである。NIH において、Adeno-Associated Virus Biology Section、Epithelial & Salivary Gland Biology、Immunology, Inflammation & Microbiologyの部門の代表としても活動をされており、ウイルス感染やウイルスベクターを用いた遺伝子導入のエキスパートである、唾液腺のウイルス感染に関する直接的な技術指導を仰ぐ。さらに、最新の研究環境でモデルマウスを作成し、臓器発生に関する共同研究を世界に先駆けて開始したい。
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