2021 Fiscal Year Annual Research Report
線虫における新規光受容体の同定および光情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
21J21628
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中山 賢一 広島大学, 統合生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
Keywords | 光受容体 / 光忌避行動 / 順遺伝学的スクリーニング / 線虫 / Pristionchus pacificus |
Outline of Annual Research Achievements |
生物は光感知により様々な生理的反応や行動が見られ、それらは光受容体および下流の情報伝達経路によって制御されている。線形動物(線虫)は既知の光受容体であるロドプシンやクリプトクロムを持たないが光反応性が確認されており、新規光受容機構を持つと考えられる。近年、線虫Caenorhabditis elegansにおいて光受容体LITE-1 の単離および一部の光情報伝達経路が解明されたが、LITE-1はC. elegansおよびその近縁種にしか存在せず、他の線虫種がどのように光受容・伝達しているかは分かっていない。本研究では線虫Pristionchus pacificusの光忌避行動に着目し、順遺伝学的スクリーニングや遺伝学的手法を用いることで新規光受容体及びその下流の制御機構の同定を目指す。P. pacificus は進化遺伝学のモデル生物として確立され、大腸菌を餌に寒天培地上で容易に飼育可能、全ゲノム配列の解読・遺伝学的ツールの開発など研究動物として様々な利点がある。本研究では、化学変異原を用いた順遺伝学的スクリーニングを行い、光不感系統6系統を単離した。また、NGS解析及び遺伝学的マッピングを行い、5系統に関して原因遺伝子(3遺伝子)を同定した。そのうちの2遺伝子においてはC. elegansにおいても光伝達に関与していることが報告されている。残りの1遺伝子についてはC. elegansの変異体では光忌避行動が低下しないが、P. pacificusの変異体では低下することがわかり、2種間において、光伝達経路の一部は保存されているが、異なるメカニズムの存在も示唆された。今後もスクリーニングを継続し、光受容体の同定を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順遺伝学的スクリーニングによって、光不感系統の単離および原因遺伝子の特定が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
光忌避行動によるスクリーニングを継続し、NGS解析およびマッピングを行う。候補遺伝子に関してCRISPR/Cas9法によるノックアウト、およびトランスジェニック系統によるレスキュー実験を行う。タンパク精製や吸光度測定により光受容体か否かを特定する。さらに、GCaMP等のカルシウムイメージング法を確立し、光照射時に活性化するニューロンを同定する。
|
Research Products
(6 results)