2023 Fiscal Year Annual Research Report
2色の極短パルス近赤外レーザーを用いたsub-eVアクシオンの探索
Project/Area Number |
22KJ2326
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
桐田 勇利 広島大学, 先進理工系科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 非同軸な誘導共鳴散乱 / 面積走査 / 日蝕フィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間では、sub-eV質量領域における高感度な未知場探索と、それをおこなうために必要な解析手法の確立と実験装置の改良を遂行した。最終年度前までにおける成果の1つは、これまで発見されていなかった新しい背景光の定量的な評価手法の確立である。これにより、背景光観測下での信号光量の評価をおこなうことが可能となった。最終年度である本年度におこなった成果は、背景光除去のための日蝕フィルタ導入およびその手法確立である。実施者が初年度に執筆した論文の成果から信号光と背景光の放出分布に差異があることが明らかとなったが、これは背景光がビーム中心部で発生するのに対して信号光はビームの辺縁部で発生しうる傾向があることが分かった。これを踏まえて、背景光を大幅にカットする“日蝕フィルタ”なるものをビーム中心に導入することで信号対雑音比を向上できる可能性を見出した。このことから、より高強度なレーザーを用いて探索することが可能になり、フィルタの導入のみで先行研究から1桁程度感度を向上させられる見込みである。最終年度前半はその光学系の構築と日蝕フィルタの調整法の確立をおこなった。最終年度後半は、自身が実施した先行研究よりも1桁高いパルスエネルギーのレーザーを用いて探索実験を実施した。現在このデータを解析中である。本研究期間で得られた大きな成果は背景光を定量的に評価するためのビーム断面積依存性測定法の確立と日蝕フィルタによる劇的な背景光低減である。これらの成果は今後の高感度探索をおこなううえで避けられない高背景光量下を大幅に改善する画期的な手法である。現在ELI-NPでの超高強度レーザーを用いた探索実験が準備中であるが、これらの手法はsub-eVアクシオンの存在検証を可能にする一助となる。
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[Presentation] Search for sub-eV axion-like particles with an analysis method for discriminating atomic process backgrounds in a stimulated resonant photon-photon collider2023
Author(s)
Y. Kirita, T. Hasada, M. Hashida, Y. Hirahara, K. Homma, S. Inoue, F. Ishibashi, Y. Nakamiya, L. Neagu, A. Nobuhiro, T. Ozaki, M. Rosu, S. Sakabe, and O. Tesileanu (The SAPPHIRES Collaboration)
Organizer
31st Annual International Laser Physics Workshop
Int'l Joint Research