2023 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリにおける新規神経ペプチドを介した脂質代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
22KJ2331
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 正暉 広島大学, 統合生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 視床下部 / 神経ペプチド / ウズラ / 脂肪 / ニワトリ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、新規の視床下部分泌性因子neurosecretory protein GL(NPGL)及びneurosecretory protein GM(NPGM)が脂肪蓄積を促進する因子であることをニワトリのヒナを用いた解析によって明らかにしている。そこで、NPGLとNPGMが鳥類の新しい脂質代謝調節因子であると考え、中枢から末梢組織への作用メカニズムに着目した。 前年度までは、研究対象をニホンウズラに変更したことを受けて、NPGL及びNPGMの前駆体遺伝子の同定から行い、ニワトリと高い相同性を有することを明らかにした。また、雌雄における遺伝子発現量を定量PCRで解析した結果、NPGLには雌雄差があり、NPGMには雌雄差が見られなかった。絶食実験を行った結果、雌雄でNPGL及びNPGMの応答性に差が見られた。さらに、ウズラの脳室内に有機化学合成したNPGLを13日間の投与した結果、摂食量及び脂肪の蓄積が促進することを明らかにした。 最終年度では、NPGMの脳室内への投与をウズラのメスに対して13日間行った。その結果、摂食量と体重に変化は見られなかったが、脂肪組織が増加し、卵巣の成熟が遅延することを明らかにした。ウズラは渡り鳥であり、日照時間の変化を刺激として脂肪の蓄積を行うことが知られている。そこで、日照時間が減少する環境下での、NPGLとNPGMの遺伝子発現量の変動を解析した。その結果、日照時間の減少に対して、NPGLの遺伝子発現量が雌雄共に増加することが認められた。一方、NPGMの遺伝子発現量は、雌雄共に変化は認められなかった。 本研究を通じて、NPGL及びNPGMの作用メカニズムの解明という目的に対して、関連性の高い組織や環境要因を明らかにすることができた。NPGLとNPGMの作用は、家禽の繁殖や食肉生産に貢献する新たな知見をもたらすことが期待できる成果となった。
|