2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規リソソーム膜損傷応答機構と神経変性疾患におけるその役割の解明
Project/Area Number |
22J40170
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮良 香苗 広島大学, 医系科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | リソソーム / リソソーム膜損傷 / リソソーム内加水分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、リソソーム膜損傷誘発剤であるL-Leucyl-L-Leucine methyl ester(LLOMe)をヒト子宮頸がん由来のHeLa細胞に曝露すると、カテプシンDやカテプシンBなど数種類のリソソーム内加水分解酵素が不溶化(界面活性剤1% Nonidet P-40に対する溶解性の低下)することを明らかにした。 そこで、「リソソーム内加水分解酵素の不溶化」の一般性を検証するため、LLOMe以外のリソソーム膜損傷誘発剤であるsilicaをHeLa細胞に曝露したところ、カテプシンDの不溶化は引き起こされた。また、LLOMeを単離・播種後13~15日目のマウス大脳皮質初代培養神経細胞に曝露しても、同様に、カテプシンDの不溶化は引き起こされた。これらの結果から、リソソーム膜損傷誘発剤による「リソソーム内加水分解酵素の不溶化」にある程度の一般性を認めることができた。 さらに、「リソソーム内加水分解酵素の不溶化」の分子メカニズムを明らかにするため、既知のリソソーム膜損傷応答機構であるリソファジー関連因子のうちの一つであるp62をノックダウンした結果、LLOMeによるカテプシンDの不溶化は抑制されなかった。次に、各種阻害剤などによる影響を検討した結果、液-液相分離阻害剤である1,6-ヘキサンジオールの処理によりLLOMeによるカテプシンDの不溶化が抑制された。これにより、リソソーム膜損傷によるリソソーム内加水分解酵素の不溶化は、液-液相分離により引き起こされている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リソソーム膜損傷時における「リソソーム酵素の不溶化」にある程度の一般性を認めることができたため。また、「リソソーム酵素の不溶化」メカニズムに液‐液相分離が関与する可能性を見出したことは分子メカニズム解明を進めるうえで重要である。以上の理由から現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
リソソーム酵素が不溶化する際にキーとなる分子について、液‐液相分離を引き起こす分子のデータベースや先行研究などから予測し、FRAPアッセイや阻害剤共曝露、ノックアウト細胞作製などを行って特定する。また、LLOMeを曝露したマウス胎仔大脳皮質初代培養神経細胞において不溶性リソソーム酵素凝集体に神経変性疾患関連タンパク質凝集体が含まれるか否かの評価を行うことで、「リソソーム酵素の不溶化」と神経変性疾患との関連性を検証する。
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Research Products
(4 results)