2023 Fiscal Year Annual Research Report
夜行性昆虫の視覚神経系の機能に学んだ瞬時暗視アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
22KJ2342
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
向田 眞志保 山口大学, 大学院創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 画像処理 / エッジ強調 / ノイズ抑制 / 暗視アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では夜行性昆虫の視覚神経系の機能に学んだ,暗い映像の瞬時映像鮮明化法の開発を行うことが目的である.本年度は夜行性昆虫の暗視機能に含まれるエッジ強調処理,ノイズ抑制処理の開発・検討を行った.エッジ強調処理ではNaikとMurthyが提案したRGB色空間における色相保存の条件式及び植田らが提案したRGB色空間の等色相平面を用いることで,入力画像の色合いを保ちつつ画像のエッジを強調させることに成功した.さらに,今回開発したアルゴリズムは平均値や分散により高速に処理することが可能で,かつ,高性能なハードウェア(グラフィックボード)を必要としない.開発したエッジ強調処理は暗い画像だけではなく,自然画像にも有効である.そのため,従来の画像鮮鋭化手法と比較を行い,定量的な画質の評価も優れていることを確認した.この研究成果は学術雑誌に掲載された.また,これを拡張した手法も既に開発しており国内学会において口頭で発表を行った. ノイズ抑制処理についてはガウス性雑音を効果的に除去できるイプシロンフィルタを拡張した,可変イプシロンフィルタを新たに開発した.可変イプシロンフィルタでは,縦列分解による高速な最大値,最小値演算等によってフィルタ処理を近似計算することによって,高速化を実現した.このフィルタ処理は暗い画像に適用することで,暗く平坦な領域のみが平滑化される.このとき,見た目では変化はないが,暗視アルゴリズムの強調後に顕在化するノイズが抑制される効果を持つ.視覚的および数値的な画質の評価も従来の暗視アルゴリズムと比較して良好な結果を得ており,開発したアルゴリズムの有効性が確認できた.この成果は国際学会においてポスターで発表を行った. 現在は映像処理向けの定量的な評価を行う仕組みを取り入れていないため,今後は多数の映像を用いた実験を行いたいと考えている.
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