2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J22990
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
花木 駿介 山口大学, 共同獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | プロリン / 異性化 / ヒストン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はプロリン異性化酵素FKBP52(FK506 Binding Protein 52)がヒストンH3のプロリン残基を異性化するか検証した。プロリンの異性化を検出する方法として、キモトリプシン法の構築を行なった。最初にキモトリプシン法に用いるヒストンペプチドの合成を行った。FKBP52が異性化すると推測されるプロリン残基までは通常のペプチド配列を合成し、直後にフェニルアラニンとペプチジル-パラニトロアニリンを融合させた。合成ペプチドはプロリン残基が異性化されることによりキモトリプシンによりペプチジル-パラニトロアニリンが遊離し吸光度が上昇する。FKBP52を添加することで、吸光度が増加したことから、FKBP52はヒストンペプチドを異性化することが分かった。FKBP52の酵素活性を欠損させた変異体では吸光度は変化しなかったことから、FKBP52の酵素活性依存的にヒストンペプチドを異性化していることが明らかになった。加えて、FKBP52の異性化が基質のリン酸化状態に依存しているか探索するために、リン酸化・非リン酸化ペプチドを合成した。プロリン異性化酵素が活性を発揮するためには、特定の条件が必要となることが多い。代表的なプロリン異性化酵素であるPin1は、標的となるプロリンの直前に位置するセリン、スレオニンのリン酸化が異性化を惹起するための前提条件となっている。FKBP52によるプロリンの異性化に対しても近傍のリン酸化が目印となって作用する可能性を検証するために、リン酸化・非リン酸化ペプチドを合成し、アッセイ系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In Vitroにおいて、プロリン異性化酵素FKBP52(FK506 Binding Protein 52)がヒストンH3のプロリン残基を異性化するか検証するため、キモトリプシン法を構築することができた。加えて、FKBP52がヒストンを異性化する前提条件としてリン酸化が重要であるか検証するための基質として、リン酸化・非リン酸化ペプチドを合成し、アッセイ系を構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒストンH3におけるプロリンのシス-トランス構造変化は、ヒストン修飾酵素との結合性に影響を与える可能性がある。このことを検証するため、ヒストンH3-WTまたはトランス体に対する修飾酵素の結合を免疫沈降法を用いて検証し、その変化を明らかにする。この解析を網羅的に行うために、ヒストンH3-WTとトランス体を模倣する変異体を発現させ、免疫沈降により精製した後に結合分子の質量分析を行うことを計画している。H3-WTおよびトランス体を模倣した変異体に対して、特異的に結合する因子、または結合が減少する因子について網羅的に解析する。この実験から、異性化に対する結合分子の変化の全貌を明らかにし、ヒストンH3におけるプロリンのシス-トランス構造変化が及ぼすヒストン修飾変化の分子機構を解明する。
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