2023 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコンメルト包有物に基づくマグマ組成の復元手法確立と花崗岩成因論への応用
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22KJ2361
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
下岡 和也 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | ジルコンメルト包有物 / 白亜紀花崗岩の成因研究 / 花崗岩 / 斑れい岩 / 記載岩石学研究 / 地球化学研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,西南日本に分布する白亜紀花崗岩類について(A)花崗岩の岩石学的研究と花崗岩中のジルコンメルト包有物の(B)研究手法の開発を総合した花崗岩成因研究を遂行した。(A)花崗岩の岩石学的研究では,愛媛県高縄半島およびその島嶼部である四阪島梶島の深成岩について,記載岩石学研究・地球化学研究・年代学研究・同位体岩石学研究を実施した。愛媛県梶島では,ジルコンU-Pb年代測定法を用いて斑れい岩および花崗岩の年代学的特徴を明らかにした(Shimooka et al., 2023, JMPS)。また,記載岩石学研究において,花崗岩中に部分溶融組織を発見し,組織観察および地球化学研究に基づき花崗岩質地殻の部分溶融によるより分化した組成を示す花崗岩質マグマの生成プロセスを明らかにした(下岡ほか,2024,岩石鉱物科学)。この花崗岩質マグマ生成プロセスの解明は,これまで同位体岩石学や年代学によって導かれてきた地殻の分化過程を記載岩石学的に明らかにした初の試みであった。ジルコンメルト包有物の研究手法開発では,ピストンシリンダー型高温高圧発生装置を用いたジルコン中のメルト包有物(多相包有物)の均質化手法を開発すると共に,得られた手法を西南日本外帯に分布する珪長質岩について応用し,花崗岩固結時の温度圧力条件の制約を試みた(Taniwaki, Shimooka et al., 2023)。また,メルト包有物測定時のガラススタンダードとして,長野県下諏訪に産する黒曜石について化学組成分析を実施した。
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