2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J00741
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 久美子 九州大学, 総合研究博物館, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2024-03-31
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Keywords | 古生物学 / 古脊椎動物学 / 海棲哺乳類 / 絶滅 |
Outline of Annual Research Achievements |
海棲哺乳類は浅海域から深海域,北極域から南極域まで世界中の海に進出しているが,その海洋進出は異なる時代にまたがって数回起き,進出初期には現在と大きく異なった形態を持っていた.これまで,海棲哺乳類の個別の分類群についてその進化を議論した研究はあるが海棲哺乳類の進化の全体像を同一の視点から比較検討する試みはほとんどなされていない.そこで,頭骨化石に残されている感覚器官の形態を基に海棲哺乳類の多様化・生息海域拡大の要因を明らかにする. 2019年度の到達目標はまず,絶滅種の古生態を明らかにするための基盤構築として,まず,現生哺乳類頭骨標本のCTスキャンを実施し,頭骨・脳・感覚器の三次元モデルの構築を行い,これらのデータの形態解析を実施すること.それらに加え,国内外に収蔵されている海棲哺乳類化石のCTスキャンを実施することである. そこで,国内博物館所蔵の現生海棲哺乳類標本データの取得,国外博物館所蔵の海棲哺乳類化石標本データの取得を実施し,1. 漸新世前期ー後期に生息した5種のヒゲクジラ類と,漸新世,中新世に生息した2種のハクジラ類と現生のハクジラ類を対象にその形態変化を比較, 2.漸新世から中新世にかけて知られるデスモスチルス類7種についてその形態変化を比較, 3.中新世に生息していたマナティー類とダイカイギュウ類と現生のカイギュウ類を対象にその形態変化を比較, 4. 中新世に生息していた基盤的アザラシ類のデスマトフォカ類現生のアザラシ類を対象にその形態変化を比較した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数回の国外出張および国外出張によって,多数の化石データを収集することができた。今後は,さらにデータベースの拡充を図っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年2月1日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は感染症法第6条第8項の指定感染症に定められ国内でもその影響が日に日に拡大していった.現在に至るまで,その収束の見通しは立っていない.このことにより,移動等に制限が課されることとなり,国外標本を中心に大きく研究の遅延が見込まれる.そこで,先ず,これまでに取得したデータを用いた解析とその結果を基にした考察を進め,国外出張がある程度自由になった暁により研究を飛躍させられるような基礎を構築していく予定である.
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Research Products
(13 results)