2022 Fiscal Year Annual Research Report
地球流体力学に現れる非線形偏微分方程式系の数理解析
Project/Area Number |
21J20065
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大山 広樹 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 非圧縮性回転磁気流体力学方程式 / 高速回転極限 / 分散型評価 / 特異極限問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、次の(1)と(2)の2つの問題に取り組んだ。(1) 3次元層状領域における回転の効果を考慮に入れた零磁場周りの磁気流体力学程式を対象とし、同方程式の初期値問題に対する時間大域的適切性および解の高速回転極限を考察した。(2) 3次元全空間における定磁場周りの回転磁気流体力学方程式を対象とし、同方程式の初期値問題に対する長時間可解性、および解の特異極限を考察した。 (1)に関して、3次元層状領域において同方程式を考察し、2乗可積分性を持つ2次元流にSobolev正則性1/2を持つ3次元摂動を加えた初期速度場と初期磁場に対して、十分大きい回転速度に対する同方程式の時間大域的適切性を証明した。さらに、回転速度無限大とする特異極限において、同方程式の解である速度場と磁場が2次元MHD方程式と3次元誘導方程式の連立系の解へ、時空間積分ノルムの意味で収束することを証明した。本研究で得られた結果は、米田慧司氏(沼津工業高等専門学校)との共同研究に基づくものである。 (2)に関して、3次元全空間において定磁場周りで同方程式を考察し、Sobolev正則性が6以上の整数となる初期速度場と初期磁場に対して、十分大きい回転速度および十分小さい粘性係数に対する同方程式の長時間可解性を証明した。また、回転速度を無限大とし、速度場の粘性係数を0とする特異極限において、解となる速度場と磁場がそれぞれ0と熱核へ、時空間積分ノルムの意味で収束することを示し、さらにその収束オーダーを導出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の研究成果は、3次元層状領域における零磁場周りの回転磁気流体力学程式の初期値問題に対する時間大域的適切性、および解の高速回転極限の解析である。また、3次元全空間における定磁場周りの回転磁気流体力学方程式の初期値問題に対する長時間可解性、および解の特異極限の解析とその収束オーダーの導出にも成功した。本研究で得られた解析手法は、今後の回転磁気流体力学方程式の数理解析への応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、令和4年度までの研究で得られた線形解に対する時空間積分評価、および非線形解に対するエネルギー評価の解析手法を応用させて、研究実績の概要の(2)と異なるパラメータを持つ定磁場周りの回転磁気流体力学方程式に対する時間大域的適切性、特異極限問題の証明やその収束オーダーの導出、および非粘性回転磁気流体力学方程式への応用を目指す。
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Research Products
(2 results)