2022 Fiscal Year Annual Research Report
トルコ共和国におけるネイション形成の研究:女性と民族的・宗教的差異の観点から
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21J21447
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂田 舜 九州大学, 人文科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | トルコ共和国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、特に史料収集に注力した。主要な図書館のうちの一つであるイスタンブル県ベヤズィット図書館では夏頃からインターネット上で閲覧できるはずのカタログがシステムダウンし、またアンカラ県の国民図書館においてもカタログ上に地方新聞の情報に誤情報・誤字などが見られたことから、これらの収蔵状況を一から詳細に調べてリスト化する必要があった。この際、主に東部・南東部の地方紙の収蔵状況を調査した。 その後、上記二つの図書館にて、集中的に地方新聞の史料収集を行った。その際、特にディヤルバクル県、マラティヤ県、アドゥヤマン県における地方新聞を写真撮影という形で収集したが、ディヤルバクル県で発行されたものについては、かなりの部分取得できたものの、残り2県についてはいまだ不十分なまま調査を一時中断せざるを得なかった。 またコンヤ県セルチュク大学にて、特定の地方出身者によって発行された新聞史料を入手した。この新聞は本来イスタンブル大学図書館で入手できるはずだったが、現在図書館の改装作業中によりアクセスが一時禁止されている状態であったため、トルコにおける収蔵状況を調査しなおし、上記の図書館に収蔵されていることをつきとめた。イスタンブル県アタテュルク図書館においても同様に、調査の結果ある希少な新聞史料が所蔵されていることが判明したため、これも取得した。以上の調査は、トルコの図書館横断検索システムに登録されていない、あるいは特定のワードを入力しないと検索結果に出てこないものであった。 収集した史料との比較のために、地方ではなく中心的な都市で主に発行された一般の新聞史料に関しても一部取得したものの、いまだ不十分であり、さらに調査を継続する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、史料収集に力をいれ、特に地方定期刊行物史料に関しては、量・質ともにかなりの程度集めることができた。また収集した史料の中にはそもそも収蔵状況が今ひとつ判然としなかったものも含まれており、それらの所在をつきとめ入手したという点でも進展してはいる。とはいえそれでもまだ不足分がある。その他にも分析・検討を進めているという点では前進しているものの、新年開けて間もない時期に、一時的に不調をきたした期間があり、その間、思ったように研究活動を進められなかったこともありやや遅れている
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Strategy for Future Research Activity |
収集した史料の整理と分析を進める。第一に地方において発行された新聞における国民・女性などの言説や表象について検討する。基本的にはもっとも集めることのできたディヤルバクルが主たる対象となるものの、近隣地域であるマラティアにおいて発行された新聞の中に、他の地方新聞には見られない宗教的差異に関する論説が含まれていることがわかったため、こちらも比較検討する。第二に、イスタンブルで発行された特定の地方出身者らが主なって発行された新聞史料を検討する。意外にもこれらは存在自体こそ知られているものの、これそのものが主たる分析の対象となることは少なかった。これらと中央・地方の新聞との比較を通じて、そこに描かれている国民観その他の差異を明らかにすることを予定している。
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