2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J22507
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
李 寛雨 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ペンタガロイルグルコース / 腸炎症 / 脳機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、加水分解型タンニンであるペンタガロイルグルコース (PGG) の新しい機能性の探索を行った。まず、PGGが腸管に与える影響を検証したところ、分化したCaco-2細胞のタイトジャンクションが強化されることで経上皮電気抵抗が増加していることを確認した。デキストラン硫酸ナトリウム塩(DSS)で大腸炎を誘導したマウスにPGGを経口投与したところ、急性大腸炎が抑制された。次に、PGGを作用させた腸上皮様細胞の基底膜側からの培地をヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yに添加したところ、神経可塑性が液性因子により活性化することを見出した。 また、PGGの経口投与が老齢マウスの脳に与える影響を検討した結果、年齢による低下した認知機能が改善されることを明らかにし、その作用メカニズムには因子Xが関与する可能性を示された。そこで、メカニズムを検討するためにマウスにおいて因子Xを投与にところ、PGGと同様に認知機能が上昇された。以上より、PGGは大腸炎および認知機能を改善するとともに、PGGの認知機能改善作用には因子Xが関与することが示された。PGGはY受容体に結合することが明らかとなっているため、今後はPGGのY受容体を介した機能性についてより詳細なメカニズムを検討する。また、因子Xの機能性がY遺伝子ノックアウトによりキャンセルされるか検証するため、Y遺伝子をノックアウトしたCaco-2細胞やマウスの構築を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ペンタガロイルグルコース (PGG) の新しい機能性を探索した。PGG投与は腸管モデル細胞のタイトジャンクションに関与する可能性を見つけ、マウスに経口投与した実験でも同様の結果が得られた。さらに、PGG添加により分化したCaco-2細胞の基底膜側において因子Xの発現が変動するとともに、その因子Xにより認知機能が上昇する可能性を示された。実際にPGGと因子X投与がマウスにおける認知機能を上昇させたことから因子XがPGGの認知機能に関与することが示唆された。また、PGGのメカニズム研究をするため、Y遺伝子ノックアウト細胞を構築した。以上により、全体として研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度には、構築したX遺伝子ノックアウト細胞を用いてPGGの生体調節作用にX遺伝子が関与するのかを検証する。また、因子Y抑制によりPGGの効果がキャンセルするかを検討する予定である。
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Research Products
(3 results)