2021 Fiscal Year Annual Research Report
トポロジー変換が導く頂底極性決定と細胞分化メカニズムの解明
Project/Area Number |
21J40176
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮崎 佳奈子 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 歯原性上皮細胞 / epithelial extrusion / 分化 / 多層化 |
Outline of Annual Research Achievements |
発生期において、細胞は増殖し多層化することで目的の機能を果たす器官となる。幹細胞から分化する細胞は、非対称に分裂し、核が局在し極性をもちながら機能に適した形態に変化していく。しかしながら、その極性化と呼ばれる形態変化をもたらす細胞内のメカニズム、分化した細胞が外層に押し出される細胞間の現象のメカニズムについてはあまりわかっていない。我々はこれまでの研究で歯の歯原性上皮細胞をモデルとして極性および多層化に重要と思われる候補遺伝子の同定に成功した。そこで、同定した候補遺伝子が極性化および多層化を生じるメカニズムを解明することを目的として研究を行った。これらのメカニズムの解明ができれば、細胞の「かたち」を作り、器官を形成するメカニズムの解明につながると考えられる。令和3年度は、我々が樹立した歯原性上皮細胞株に対し、遺伝子改変技術 (CRISPR/Cas9システム)を用いて候補遺伝子のノックイン細胞および遺伝子欠損細胞株を作製することに成功し、さらにエナメル芽細胞まで経時的に分化することができる3次元培養法を開発することができた。これは頂底極性を再現することができるため解析ツールとして有用である。本培養系を用いて、遺伝子欠損細胞株を培養すると分化が抑制されることを確認した。また、二次元培養下においても遺伝子欠損細胞株に候補遺伝子を過剰発現させると、過剰発現細胞の押し出し現象が生じ、その細胞は歯原性上皮細胞の分化マーカーであるアメロブラスチンを発現していることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が樹立した歯原性上皮細胞株から、遺伝子改変技術 (CRISPR/Cas9システム)を用いて同定した候補遺伝子のノックイン細胞および遺伝子欠損細胞株を作製することに成功した。さらに3次元培養法を開発し、最終分化段階であるエナメル芽細胞まで経時的に分化させる培養系を確立した。本培養系は、頂底極性を再現することができるため、今後の解析に有用なツールとなる。さらに、本培養系では遺伝子欠損細胞株において分化が抑制されることを確認した。また、二次元培養下で候補遺伝子を過剰発現させると、epithelial extrusionが生じ、分化マーカーであるアメロブラスチンを発現していることを発見したが、これは多層化と分化の協調を裏付ける事象である。本研究を進めるにあたり、ツール開発および予備実験のデータも良好であり、概ね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
二次元培養下において多層化(epithelial extrusion)を生じることを確認したため、共焦点レーザー顕微鏡にてTimelapse-imagingを行い、現象が生じる瞬間を時間的・空間的に捉える予定としている。さらに、本遺伝子は核内において転写調節因子として働く可能性が示唆されているため、ChIP-seqを用いて結合するプロモーター領域を網羅的に解析し、標的遺伝子の探索および転写共役因子を同定する予定としている。
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Research Products
(13 results)