2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J11129
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川崎 良寛 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
Keywords | 原始惑星系円盤 / 星形成 / 惑星形成 / 磁場 / ダスト |
Outline of Annual Research Achievements |
原始惑星系円盤の角運動量輸送機構の解明は星や惑星の形成進化過程の理解ために重要である。円盤内の角運動量輸送の機構として、磁気的な効果が有力視されており、磁気回転不安定性や磁気遠心力風が長年調べられてきた。これらの機構による角運動量輸送の効率を理解するためには円盤内の磁場の分布進化を追う必要がある。本研究では、磁場を考慮した1次元のガス降着段階の円盤進化計算を行い、円盤進化や惑星形成過程における磁場の役割をより明確にしていく。 本年度は、原始惑星系円盤の面密度を計算するコードは既に開発が完了し、先行研究の計算結果の再現をすることができた。また、円盤の温度を熱平衝式から計算するコードの開発を行い、円盤の面密度進化計算に組み込んだ。一方で、円盤内の磁場の分布の計算コードは開発中である。磁場の進化は非理想磁気流体効果に大きく影響を受ける。非理想磁気流体の強さを決める磁気拡散係数を求めるためには、気相中の荷電粒子の存在量を計算する必要がある。気相中の荷電粒子の存在量はダストの存在量やサイズ分布といった性質に大きく影響を受ける。そこで、円盤進化計算とは別にダストのサイズ分布の進化をダスト同士の衝突合体成長を考慮して行い、非理想磁気流体効果への影響を調べた。その結果、星・円盤形成進化過程において非理想磁気流体効果が機能するためには衝突破壊を考慮したダストサイズ分布の進化を追うことが必要であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に必要な原始惑星系円盤の面密度と磁場の進化の数値計算コードの開発は順調に進んでいる。当初の計画では、前年度までに計算コードの開発が終えている予定であったが、磁場の計算においてダストの進化が重要であることが分かり、星・円盤形成過程における磁場の役割について理解が進んだ。そのため、概ね順調であると判断した。また、星・円盤形成過程におけるダストのダイナミクスに関する数値計算の共同研究も行い、共著論文として受理された。さらに、円盤の形成進化過程の理論研究と比較するために、円盤の観測の共同研究も行い、その研究は現在論文投稿中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は円盤内の磁場の分布進化を計算するコードの開発を進める。磁場の進化は非理想磁気流体効果に影響を受け、非理想磁気流体効果の強さの計算には円盤内の荷電粒子の存在量を求める必要がある。荷電粒子の存在量を計算するコードは前年度に開発しているため、そのコードを組み込み非理想磁気流体効果による散逸過程の計算を行う。その後、円盤の面密度計算と組み合わせ、1次元円盤計算を行い、結果をまとめる。
|
Research Products
(3 results)