2022 Fiscal Year Annual Research Report
希土類錯体を用いた電界発光素子の動作環境下における発光機構解明
Project/Area Number |
22J11220
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮崎 栞 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 希土類錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、時間分解発光分光法(TR-PL)、時間分解過渡吸収分光法(TAS)を用いて希土類錯体の発光機構解明に取り組み、有機EL素子への応用を目指している。今年度は、EL素子の発光層状態であるホストゲスト薄膜での発光機構に焦点を当てて研究を行った。 これまでにEu(III)錯体の溶液状態について、配位子励起後、Eu(III)発光に至るまでのエネルギー移動機構をTR-PLとレート方程式を用いた解析により明らかにしてきたが、この手法をEu(III)錯体をホスト分子中にドープしたホストゲスト薄膜に応用した。Eu(III)の発光量子収率と発光強度がホスト分子に大きく依存することを見出し、高効率・強発光が得られたホストゲスト薄膜について、TR-PLとTASを用い幅広い時間スケールでの発光機構を詳細に解析した。その結果、Eu(III)錯体において高効率・強発光が得られるホスト分子の選択指針を提案することができた。この成果について、現在査読誌に投稿中であり、ChemRxivにて公開している。 さらに、ホストゲスト薄膜の電場印加状況下での発光機構の変調について、現在装置構築に取り組んでいる。測定可能な素子設計についても現在検討を行っており、この結果の詳細については次年度中に論文として報告する予定である。 またこれまでの研究成果について希土類討論会にて口頭発表、ICSM 2022にてポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中にEu(III)錯体をドープしたホストゲスト薄膜について高効率・強発光を達成するホスト分子を見出した。このホストゲスト薄膜について時間分解発光分光法(TR-PL)および過渡吸収分光法(TAS)を用いて発光機構の全貌を明らかにし、高効率・強発光を達成するためのホスト分子の選択指針を提案した。この成果について、現在査読誌に投稿中であり、ChemRxivにて公開することができた。 さらに、ホストゲスト薄膜の電場印加による発光機構の変調を調べるための測定装置構築とデバイス設計にも現在取り組んでいる。いくつかのデータをとりながら試行錯誤している段階である。これらは研究計画に記載した通りであり、本研究課題は順調に遂行することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在装置構築中である電場変調分光測定に継続して取り組む。測定条件の検討を行い、測定に適切な素子構造を見出す。まずは電場印加状態での時間分解発光分光測定を行い、発光の変調について調査する。並行して、電場印加状態での過渡吸収測定にも挑戦する。これまでに得られたホストゲスト薄膜の発光機構と照らし合わせながら、電場印加の影響を受ける機構を特定する。さらに、電気パルス励起での発光機構についても同様の測定に取り組むことで、電気励起による発光機構の変化についても調査する。 また、本研究課題のまとめも並行して行う
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