2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a new pancreatic cancer therapy focusing on the dysbiosis induced by pancreatic cancer
Project/Area Number |
22KJ2429
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 昌孝 九州大学, 医学系学府, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 膵癌 / 腫瘍微小環境 / 腫瘍免疫 / マイクロバイオーム / 歯周病菌 / Fusobacterium nucleatum / CXCL1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト膵腫瘍組織に存在すると予後不良であるとされている歯周病菌Fusobacterium nucleatum (F. nucleatum)を腫瘍促進性に働く細菌の候補として着目し、研究を進めた。ヒト膵切除組織からDNAを抽出し、膵腫瘍組織と正常膵組織におけるF. nucleatum由来のDNA発現量をPCR法で評価した。F. nucleatum陽性膵癌は陰性膵癌と比較して、有意に無病生存期間や全生存期間が短縮していた。 膵癌細胞株とF. nucleatumの直接共培養によるMigrationAssayおよびCytokine Arrayを施行し、F. nucleatumが膵癌細胞へ与える影響を評価したところ、F. nucleatumは、他の歯周病菌と比較して、有意に膵癌細胞の遊走能を促進し、膵癌細胞が産生するCXCL1の発現を促進した。CXCL1の受容体を阻害すると、F. nucleatumにより促進した膵癌細胞の遊走能が抑制された。 腫瘍内に存在するF. nucleatumが癌微小環境へ与える影響を評価するために、膵癌自然発生マウス由来の膵癌細胞株皮下移植モデルにF. nucleatumを腫瘍内へ投与したところ、他の細菌投与群と比較して、有意に腫瘍の増大を認めた。腫瘍を用いてFlow cytometryで免疫細胞を評価したところ、F. nucleatum投与群において、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)が有意に増加し、CD8陽性T細胞が減少していた。抗CXCL1抗体やMDSC阻害剤による治療実験では、いずれもF.nucleatum投与により増大した腫瘍が抑制された。 本研究により、膵腫瘍内のF.nucleatumは癌細胞のCXCL1産生を促進し、癌細胞自身や腫瘍内の免疫細胞を改変することで癌の進展を促進することが示唆された。
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