2022 Fiscal Year Annual Research Report
分子間カップリングを基盤とした代謝耐性型シアロ糖鎖の網羅的合成法の確立と応用
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22J11709
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹田 大樹 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | シアロ糖鎖 / C-グリコシド / 代謝耐性アナログ |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室ではガングリオシドGM3の代謝耐性アナログとして炭素連結型GM3を合成し、細胞レベルでの機能評価を実施した。その結果、本アナログ群は天然型GM3と同様の機能を発揮し、中でも(S)-CHF連結型が最も高い活性を示すことを明らかにした。本研究では、シアロ糖鎖の機能解明に有用であると期待される(S)―CHF型シアロ糖鎖の効率的かつ統一的な合成を志向し、分子間カップリングを基盤とした合成法の確立を目指している。 本戦略の大きな課題は立体障害の大きなシアル酸アノマー位で立体選択的にC-C結合を形成しなければならない点にある。この実現のために橋頭位グリコシルラジカルの利用を着想し、その前駆体となるビシクロ環含有シアル酸ドナーの合成に着手した。架橋部の長さに応じて反応性が異なり、鎖長が短いほど変換が困難であることが分かったが、詳細な検討により環サイズの異なるシアル酸ドナーの統一的な合成法を確立できた。続いて鍵反応であるカップリング反応を検討した。初めに当研究室で確立した可視光レドックスクロスカップリングの条件に付したところ、期待通り橋頭位でのグリコシルラジカルの発生が確認できた。しかしその反応性の制御は困難であり、二量化や過剰還元などの副反応が進行し、目的物は痕跡量得るのみであったため、本条件の適用は断念した。その後、低原子価金属を用いる還元的条件に付した際に望みの反応が進行することを見出し、モデル基質との反応において中程度の収率で目的物を得ることに成功した。今後は本基質でのカップリングを実施し、各種シアロ糖鎖アナログ群の合成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の想定とは異なる条件だが、橋頭位ラジカルを利用して最大の課題であるC-C結合形成の足掛かりを見出すことができた点は非常に重要な成果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
見出したカップリング条件を、ブロモフルオロオレフィンを有する本基質とのカップリングに適用し、条件の最適化を図る。その後オレフィン部の水素化とグリコシル化により、広範な炭素連結型シアロ糖鎖アナログ群を合成する。
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Research Products
(4 results)