2023 Fiscal Year Annual Research Report
分子間カップリングを基盤とした代謝耐性型シアロ糖鎖の網羅的合成法の確立と応用
Project/Area Number |
22KJ2436
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹田 大樹 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | シアロ糖鎖 / C-グリコシド / 代謝耐性アナログ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き分子間クロスカップリングを基盤とした炭素連結型シアロ糖鎖の効率的かつ統一的な合成法確立を目指した。昨年度までに、大員環構造をもつシアル酸ドナーの合成を完了していたが、本基質の可視光還元的クロスカップリング反応では、生じるグリコシルラジカルの反応性に起因する過剰還元反応と二量化反応が副反応として併発しその抑制が困難であることを明らかにしていた。一方、同じ大員環シアル酸ドナーとモデル基質であるスチレン誘導体に対して低原子価金属を用いた還元的条件に付した際に、所望の分子間クロスカップリング反応が進行することを見出していた。そこで本条件のフルオロオレフィン化合物への適用を目指したが、各種条件を徹底的に検討してもその実現は困難であった。詳細な解析の結果、昨年度検討していた可視光還元的クロスカップリング反応の際には見られなかった、フッ素原子を含むことに由来する副反応経路の存在が示唆された。そこで対応するフッ素原子をもたないガラクトース誘導体のオレフィン化合物をアクセプターとして用いることで、炭素連結型2,6-シアリルガラクトースおよび2,3-シアリルガラクトース骨格の前駆体を得ることに成功した。さらに、この際得られた副生成物から先述の副反応経路の存在を支持する結果も得られている。また、最難関であると思われた2,8-ジシアロ骨格の前駆体も構築可能であることが確認できており、本法の高い有用性を示すことができた。
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