2022 Fiscal Year Annual Research Report
超分子ポリマーの精密合成を可能とする重合開始剤の開発
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22J11922
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島田 拓馬 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 超分子ポリマー / 自己集合 / バンドル / 表面改質 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究目標であるリビング超分子重合の開始剤を精密合成するための材料となるモノマー分子の合成と、その超分子重合の挙動の評価に取り組んだ。 一般的な有機合成的手法を用いてトリフェニレン骨格を有するモノマー分子の合成を行った。合成したモノマーを用いて超分子重合を行ったところ、超分子ポリマーの形成は見られたものの、超分子ポリマー同士が強くバンドル化してしまうことが明らかになった。この超分子ポリマーのバンドルは研究課題の達成の妨げとなることが予想されたため、当初目的を達成するための第一段階として、超分子ポリマーのバンドル化の解消に取り組んだ。合成したモノマーを用いた詳細な重合挙動の解析の結果、超分子ポリマーの表面の構造がバンドル化に影響を与えていることが示唆されたため、バンドルを防止するために、超分子ポリマーの表面構造の改質を試みた。 一般的に超分子ポリマーのモノマーとなる分子は、分子外縁部にアルキル鎖が導入される。我々は、異なる長さを持つ二種類のアルキル鎖をモノマー分子外縁部にランダムに導入することで、モノマーが重合した際に得られる超分子ポリマーの表面を乱雑にするという新規手法を提案し、新たなモノマー分子の合成に取り組んだ。その結果、得られたモノマーから作られた超分子ポリマーは、長期間にわたってバンドルすることなく溶液中で分散することが確認された。この成果は超分子ポリマーのバンドルを防止する分子設計の指針を打ち立てたものであり、様々な超分子ポリマーへの応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現段階では当初の目的である重合開始剤の精密重合こそ達成されていないものの、その達成の障害となりうる超分子ポリマーのバンドル化を防止する手法を確立するに至った。また、予備的な結果ではあるものの、計画の達成に必須の要素であるリビング超分子重合を、合成したモノマー分子を用いて行うことが可能であることが確認されたほか、超分子ポリマーの形成後に合成化学的手法を用いて固定化することにも成功しており、研究は順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
リビング超分子重合を用いた超分子ポリマーの精密な長さの制御と超分子ブロック共重合体の合成について研究を行う。また、超分子ポリマーに対する合成化学的アプローチでの構造の固定化と、解重合の制御を行うことにより、超分子重合開始剤の合成を行い、得られた開始剤についての性能評価を実施する。
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Research Products
(2 results)