2022 Fiscal Year Annual Research Report
分泌蛋白質を切り口にした慢性炎症期筋線維芽細胞の性質解明
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22J21002
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笠井 康太郎 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 線維化 / 筋線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
線維化とは、コラーゲン等の細胞外マトリックスが過剰に産生された病態である。過剰な線維化は、組織を硬くすること等により、各種組織の機能を大きく低下させる。線維化は心筋梗塞後の心臓や特発性肺線維症、慢性腎不全、非アルコール性脂肪肝炎等の様々な病態において認められるが、有効な線維化の治療薬はほとんど存在しておらず、革新的な線維化治療法の確立が望まれている。 線維化は筋線維芽細胞という細胞群によって実行される。私は、慢性炎症期の組織の筋線維芽細胞に特異的に発現し、線維化を促進させる分泌蛋白質を見出した。そこで、私はこの分泌蛋白質を切り口として、画期的な線維化治療薬開発の基盤構築を目指し、研究を行っている。 この分泌蛋白質が線維症に対する治療標的となり得るか評価するため、本年度は多産系のICRマウスに対して、卵管にCAS9 mRNAとsgRNAを注入し、電気穿孔法を行うことで遺伝子改変マウスを作製する技術であるGONAD法を実施し、この分泌蛋白質のノックアウトマウスを作製した。ICRマウスは非近交系であるため、現在、作製した標的分泌蛋白質欠損マウスと近交系C57BL/6Nマウスの連続戻し交配を実施している。来年度中にC57BL/6N系統の標的分泌蛋白質欠損マウスを獲得し、このマウスに臓器線維化を誘導する。そして、この標的分泌蛋白質の欠損によって線維化が軽減されるかを線維化関連因子のRNA発現量の測定、細胞外マトリックス蛋白質の組織染色により評価する。この分泌蛋白質の欠損によって、線維化の軽減が認められた際は、この標的分泌蛋白質の中和抗体を作製し、線維化に対する治療効果の更なる検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ICR系統の標的分泌蛋白質欠損マウスの作製に成功した。また、当初の予定通り順調にC57BL/6N系統マウスとの連続戻し交配が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
筋線維芽細胞において、標的分泌蛋白質の線維化関連因子産生に影響を及ぼすシグナル経路の探索を行う。 また、線維化に対する治療効果を検討するために、作製した標的分泌蛋白質欠損マウスに臓器線維化を誘導し、線維化病態が軽減されるか評価する。
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Research Products
(1 results)