2022 Fiscal Year Annual Research Report
植物オルガネラ選択的H2O2検出用のカーボンナノチューブ近赤外発光プローブの開発
Project/Area Number |
22J22541
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浜野 凌 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ(SWCNT) / サイズ排除クロマトグラフィー(SEC) / 長さ分画 / 架橋高分子 / 近赤外発光 / 原子間力顕微鏡 / 乳化重合 / 生体分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、マレイミド含有架橋高分子ゲル被覆単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の長さに注目し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて架橋高分子ゲル被覆SWCNTの長さ分画を達成した。SWCNTはその一次元形状のため、長さによって光学特性や細胞取り込みなどの性質にばらつきがあることが知られている。現在の合成技術では長さの制御は困難であるため、性質の揃ったSWCNTを調整するためには、SWCNT孤立分散液を調整後に長さを分画することが求められている。本研究では、CNTミセル重合法と呼ばれる、界面活性剤とSWCNTのミセル空間を重合場としてモノマーを乳化重合しSWCNT表面をゲルで被覆する方法で合成したゲル被覆SWCNTでも長さを分画できることを初めて明らかにした。ゲル被覆SWCNTの長さは原子間力顕微鏡で観察した。長さ分画後のゲル被覆SWCNTの光学特性を評価したところ、長いゲル被覆SWCNTほど、分画前よりも高い相対量子収率を有することが確認できた。長さ分画後、ゲル被覆SWCNTのマレイミド部位に対し、チオール残基を有するタンパク質の後修飾を検証した。また、SECでの長さ分画におけるCNTミセル重合法の一般性を検証するため、上記の条件と異なるモノマーでゲル被覆SWCNTを合成し、ゲルの組成に依らずSECで長さ分画できることを示した。さらに、SWCNTの表面に分子を化学的に導入し、一般的なSWCNTよりも近赤外発光特性が向上した局所化学修飾SWCNT(lf-SWCNT)を、CNTミセル重合法を用いてゲルで被覆する方法を確立し、SECを用いた長さ分画を達成した。長さ分画後のゲル被覆lf-SWCNTの光学特性を評価し、長いゲル被覆lf-SWCNTほど分画前よりも高い相対量子収率を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
架橋高分子ゲル被覆SWCNTおよびlf-SWCNTの生体内応用において重要なパラメーターのひとつであるSWCNTの長さを、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分画し制御することを明らかにした。また、長さ分画はゲルを構成するモノマーに汎用性があり、長さに依存した光学特性が確かめられた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、架橋高分子ゲル被覆SWCNTのサイズ排除クロマトグラフィーを用いた長さ分画の成果を踏まえ、異なる長さの架橋高分子ゲル被覆lf-SWCNTの修飾分子の違いによる光学特性の環境応答性や、水溶液中での拡散係数などを調査する。これにより、架橋高分子ゲル被覆lf-SWCNTを用いた生体内イメージングへの応用へ繋げる。
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Research Products
(2 results)