2023 Fiscal Year Annual Research Report
肝内型マラリア原虫における脂質分子リクルート機構の解明
Project/Area Number |
22KJ2497
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福本 隼平 長崎大学, 長崎大学熱帯医学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 肝内期マラリア原虫 / 脂肪滴 / ホストハイジャック |
Outline of Annual Research Achievements |
肝内期原虫は増殖に必要な大量の脂質分子をどのように得ているのかが不明であった。そのため肝細胞には原虫に脂質分子を供給するシステムが存在し、これがヒトで最初の感染ステージの場として選択された理由ではないかと考えた。本研究では肝内期マラリア原虫のバイオロジーの解明に向けて、原虫の急速な増殖をサポートする宿主細胞から原虫への脂質供給メカニズムの解明を行う。そのため、脂質分子の供給源と考えられる脂肪滴に焦点をあて、脂肪滴が原虫の増殖に与える影響を解析した。まず初めに、肝細胞の脂肪滴を低血清培地またはオレイン酸入り培地でそれぞれ減少・増加させて、宿主脂肪滴量が原虫の増殖にどのような影響を与えるか調査した。mCherry発現ネズミマラリア原虫(P. berghei)を肝細胞(Huh-7)に感染させてから18時間または24時間後に固定し、中性脂質プローブであるLipidTox Greenで脂肪滴を染色した。結果、2%血清培地またはオレイン酸入り培地で脂肪適量を変化させても、原虫のサイズに有意な変化は認められなかった。この結果は、人為的に脂肪適量を変化させても原虫の増殖に影響を与えないことを示唆している。多くの細胞内寄生生物で宿主オルガネらのリクルートメントが報告されていることから、マラリア原虫においても脂肪滴のリクルートメントが起こっているのか調査した。結果、感染から24時間後の肝細胞において、80%近くの原虫の寄生胞に脂肪滴が接触していた。この結果は、肝内期マラリア原虫が脂肪滴を自身の周りにリクルートすることを示唆している。現在、肝細胞における原虫の脂肪滴成分の利用を制限するために、脂肪滴タンパクであるPerilipin 5(PLIN5)を過剰発言する細胞株の作成を試みている。
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