2021 Fiscal Year Annual Research Report
Environmentally Benign Precise Transformations of Alkenes by Chiral Chalcogenide Catalysts
Project/Area Number |
21J20978
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西依 隆一 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
Keywords | グリーンケミストリー / 有機触媒 / カルコゲン / 不斉合成 / ラクトン |
Outline of Annual Research Achievements |
石油由来の単純なアルケンを用いた直截的有用化合物合成法の開発は、化学合成に伴うエネルギー消費や廃棄物排出の大幅な削減につながることから、循環型社会構築に向けて確立すべき科学技術である。しかし、機能性化合物を効率的且つ精密に創製するための、アルケンを用いた立体選択的不斉合成は、未だ困難な課題として残されている。本研究では、独自のアイデアに基づいて設計した分子認識型キラル二官能性カルコゲナイド触媒を利用することで、本課題の解決に挑んだ。触媒機能の本質的役割を担うカルコゲナイド部位に加え、触媒骨格にアニオン認識部位を組み込むことで、反応中間体の構造および触媒機能を精密に制御し、これまで困難とされてきたアルケンへの高立体選択的官能基導入法の開発に取り組んだ。本手法が確立できれば、医薬品や機能性材料の製造工程の大幅な簡略化に繋がることから、化学工業の様々な場面で利用される手法になると期待できる。独自に設計したキラル二官能性スルフィド触媒の効率的合成法を確立し、触媒ライブラリーの構築をおこなった。このキラル二官能性スルフィド触媒ライブラリーを活用し、アルケニルカルボン酸の高立体選択的ブロモラクトン化反応への適用を試みた。その結果、既存の触媒を凌駕する高いエナンチオ選択性で有用光学活性ラクトン生成物を不斉合成可能な、高性能スルフィド触媒を見出すことに成功した。また、ここで見出した高性能キラル二官能性スルフィド触媒の更なる展開として、既存の手法では合成困難な、α位に不斉四級炭素を有するラクトンの触媒的不斉合成への適用を検討した。その結果、高い立体選択性で目的の不斉四級炭素を有するラクトン生成物を得ることに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自の分子認識型キラル二官能性カルコゲナイド触媒の効率的合成手法を確立した。また、創製したキラル二官能性カルコゲナイド触媒を用いた、アルケン基質の高エナンチオ選択的反応の開発にも成功しており、予定通り順調に研究が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において創製した、分子認識型キラル二官能性スルフィド触媒およびセレニド触媒を利用し、アルケン基質を用いた触媒的不斉合成反応の更なる展開を図る。既に、独自に開発した分子認識型キラル二官能性スルフィド触媒およびセレニド触媒が、アルケニルカルボン酸の不斉ブロモラクトン化反応に極めて有効であることを明らかにしている。今後は、本不斉合成手法の更なる展開として、関連反応への展開を図る。具体的には、その他のハロゲン化試薬を用いた不斉ハロラクトン化反応を検討する。また、異なるアルケン基質を用いた、分子間および分子内不斉変換反応への適用を試みる。種々の反応に対し効果的な触媒の探索、反応条件の最適化を実施し、アルケン基質を用いた有用化合物の精密合成手法の幅広い展開を図る。また、これまでに得た研究成果について、学会発表や論文発表を通して、広く世界に発信していく。
|
Research Products
(7 results)