2022 Fiscal Year Annual Research Report
エクソソーム表面抗原を利用した核酸医薬の細胞内送達法の開発
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22J20228
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大山 将大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | エクソソーム / 核酸医薬 / 抗体結合型核酸 / ドラッグデリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はアビジン-ビオチン相互作用をリンカー構造に取り入れたエクソソーム随伴型抗体結合型核酸(以降、EPEIOS)を設計し、主に分子構造の最適化とin vitro系有効性評価を行った。 (a) EPEIOSの合成条件検討:本システムを構成する3種類の分子(ビオチン標識抗体、ストレプトアビジン、ビオチン標識核酸)の組成や反応条件を種々検討した。複合体形成能をゲルシフトアッセイによって評価したところ、ビオチン標識抗体:ストレプトアビジン:ビオチン標識核酸=1:2:1の比率で反応させた条件において高効率でEPEIOSを形成可能であることを見出した。 (b) EPEIOSの細胞内取込効率評価:標的microRNAに相補的な配列を有するアンチセンス核酸(anti-miR核酸)に蛍光標識を施しEPEIOSに搭載した。共焦点レーザー顕微鏡を用いてEPEIOSの肺がん細胞内取込効率を評価したところ、従来型のエクソソーム随伴型薬物送達システム(ExomiR-Tracker)と比較して高い細胞内送達が確認された。 (c) EPEIOSの細胞内活性評価:肺がん細胞においてanti-miR核酸搭載EPEIOSによる標的microRNAの機能阻害効果をデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイにより評価したところ、EPEIOS処理群で従来型のExomiR-Trackerをはるかに上回る機能阻害効果が確認された。 なお、予備検討ではあるが、EPEIOSの担癌マウスにおける臓器分布について比較的良好な結果が得られているため、次年度は引き続きin vivo系の有効性評価を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は当初の予定通りに、EPEIOSの合成最適化とin vitro系有効性評価を進めることができた。これは、EPEIOS形成能の評価や細胞実験において従来型のExomiR-Trackerと同じ系を用いることができたことが大きな要因であると思われる。また、予備的な検討の結果ではあるが、担癌マウスにおいて比較的有効な臓器分布の結果が得られた。 これらのことを踏まえて今年は おおむね順調に進展している と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後2年間は、(1) アビジン-ビオチン相互作用を取り入れたEPEIOSのin vivo系評価と、(2) 共有結合型リンカーを有したエクソソーム随伴型薬物送達システムの開発・評価を行う予定である。 (1) EPEIOSのin vivo系評価:肺がん細胞(A549)を異所性移植した免疫不全マウスをモデルマウスとし、in vivoイメージングシステム(IVIS)を用いて蛍光標識EPEIOSの腫瘍集積能を評価する。また、腫瘍系を測定し造腫瘍能抑制効果を評価する。なお、これらの結果をもとにEPEIOSの分子設計に都度フィードバックすることで、さらなる分子設計の最適化を図る。 (2) 共有結合型エクソソーム随伴型薬物送達システムの開発:in vivoでの応用を見据え、血中で核酸医薬の解離・放出を抑えるために共有結合型リンカーを取り入れたエクソソーム随伴型薬物送達システム(以降、共有結合型)を開発する。リンカーの候補として、マレイミドリンカーなど血中安定性の高い非切断型リンカー、ジスルフィドリンカーやバリン-シトルリンリンカーなど細胞内で切断を受ける切断型リンカーの2種類を検討する。共有結合型は導入するリンカーの長さや構造および導入数の検討が必要になることが予想される。精製や合成はEPEIOSと同様にSECやEMSAを用いて確認を行う。細胞内取込効率評価、細胞内活性評価および担癌マウスにおける体内動態や抗腫瘍効果の評価を繰り返し、設計・合成段階に都度フィードバックを行うことで各々、分子構造の最適化を図る。
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Research Products
(6 results)