2021 Fiscal Year Annual Research Report
垂直配向ナノロッドとプロトン導電性ナノシートの接合による有機ガスの超高感度認識
Project/Area Number |
21J20487
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
愼改 豪 熊本大学, 自然科学教育部, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
Keywords | ガスセンサ / 酸化亜鉛 / ナノ結晶 / ナノロッド |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体ガスセンサは、材料表面へのガスの吸着及び、化学反応に伴う抵抗値の変化を利用してガスを検出する。材料をナノサイズに制御することで、酸素吸着によって生じる電子空乏層が材料全体へと広がり、抵抗値の変化が増大し、ガス感度が向上する。近年、ナノロッドやナノシートなどの1D・2Dナノ材料への注目が集まっている。それらの材料は特異なガス応答特性を示すことから、新たなガス検知材料として期待が高まっているが、ガス検知メカニズムは未だに不鮮明な点が多い。良質なガスセンサを作製するために、ガス検知メカニズムの解明は非常に重要である。 令和3年度は、ZnOナノロッド結晶面のガス検知特性及び、In Situ DRIFTS測定によるガス応答メカニズムを調査した。ZnOナノロッド表面には、異なる電気的特性を有する2種類の結晶面が存在し、ガス応答特性にも影響を及ぼす可能性がある。主な露出面であるm(10-10)面のガス応答特性を評価するため、ミストCVD法により、m面サファイア基板上にm面ZnO単結晶を合成し、ガス検知測定を行なった。その結果、ZnOナノロッドと類似した応答挙動を示した。通常、単結晶は表面積が極めて小さいことから、ガスセンサに利用されるっとった報告はなされていない。しかし、m面ZnO単結晶がガス応答特性を示したことから、ZnOナノロッドの特異なガス応答特性には、m面の高い反応性が寄与していることが示唆された。また、エタノール存在下でIn Situ DRIFTS測定を行い、ZnOナノ結晶及びZnOナノロッド表面の吸着物を分析した。それぞれの表面上で、異なる吸着物に起因するピークが観測され、その結果より、異なるエタノールの酸化反応を提案した。ZnOナノロッド表面では、エタノールの酸化反応が完全に進行し、より多くの吸着酸素が消費されることで、高いガス感度が発現していると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画に従って実験がおおよそ進んでおり、ZnOナノロッドのガス応答特性が、結晶面のガス反応性に関わっている可能性を見出した。また、In Situ DRIFTS測定により、ZnOナノロッド表面では、ZnOナノ結晶とは異なるエタノール酸化反応が進行することが明らかになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、実験計画に従って現在進めている研究方針を継続する。特定のVOCに対して高い応答を示したZnOナノロッドを、GO膜と複合させることで、起電力検出方式でのVOC検知を試みる。その中で、作動温度や相対湿度のセンサ応答に及ぼす影響を調査するとともに、他ガスへの応答特性も評価する。また、ZnOと貴金属を組み合わせ、さらなるガスセンシング特性の向上を目指す。
|