2021 Fiscal Year Annual Research Report
重力マイクロレンズ法を応用した系外惑星オーロラ電波の探査
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21J20760
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
潮平 雄太 熊本大学, 自然科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 系外惑星 / オーロラ電波 / 電波観測 / 電波天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
固有の磁場を有する惑星は周囲のプラズマと相互作用することでオーロラ現象を引き起こす。また、磁場を有する地球や木星などでは、この現象に伴って低周波電波(オーロラ電波)が発生することが知られている。これに着目すると、太陽系外惑星(系外惑星)のオーロラ電波が検出されれば、その惑星の磁場強度や内部構造を推定することが可能になる。これまで、系外惑星からのオーロラ電波の観測は、恒星と系外惑星の相互作用によって強力なオーロラ電波が駆動されるという予測から、主に恒星の近傍を周回する木星型惑星、ホットジュピターと呼ばれる惑星を対象に行われてきた。しかし、これまでに明確な検出には至っていない。 これに対し本年度の研究では、主星との相互作用が弱いと考えられる長周期の系外惑星であっても、強い磁場とプラズマ源を有していれば木星と同様のメカニズム(磁気圏-電離層、磁気圏-衛星の相互作用)により強力なオーロラ電波を放射している可能性があることに着目し、長周期系外惑星βPictoris bが発するオーロラ電波の探査を行った。観測はインドの電波干渉計 Giant Metrewave Radio Telescope (GMRT)を用いて行い、この観測で得られたデータの解析を実施した。結果として今回の観測では検出には至らなかったため、惑星磁場の強度等のパラメータの制限を行った。現在は、この観測についての論文を執筆しており、近日中の投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、重力マイクロレンズ現象によって増光された系外惑星のオーロラ電波の検出を目的としている。この目的を達成するために、本年度ではレンズ天体が連星系である場合の重力マイクロレンズによるオーロラ電波の増光シミュレーションの開発と、電波干渉計を用いた電波観測・データ解析の手法の学習・研究を行う予定であった。前者については、本年度中に同研究室のメンバーと研究を進めているが、成果をまとめ、論文として発表するまでには至らなかった。これは、後者を優先的に進めていたことなどが理由として挙げられる。その後者については、研究実績の概要にもある通り、実際に電波干渉計の観測データの解析を行い研究を遂行した。観測データの解析は今後の計画にある観測研究に重要な技術であるが、増光シミュレーションの開発は本研究の基幹であることを踏まえて、本年度の進捗状況はやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在取り組んでいる長周期系外惑星オーロラ電波の観測についての論文を完成させ、投稿・掲載を目指す。その後、増光シミュレーションの開発に取り組み、さらにはそのシミュレーションの研究から系外惑星の光度曲線モデルを作成し、銀河系 ・系外電波源と組み合わせて観測シミュレーションを行う。このシミュレーションから得た結果を年度中にまとめ、国内外の学会で発表する。また、今後、現存の低周波電波干渉計で広い視野を有するMWA(Murchison Widefield Array)を用いた探査を行う予定であるため、その干渉計が位置するオーストラリアに長期滞在し、現地の研究者と共同研究を行う。
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