2021 Fiscal Year Annual Research Report
疾患組織選択的にゲノム編集分子を送達可能な"着せ替え型"超分子キャリアの構築
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21J20999
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田原春 徹 熊本大学, 大学院薬学教育部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ポリロタキサン / ゲノム編集分子 / デリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の検討を実施した。1) ゲノム編集分子と複合体を形成し、その細胞内取り込みおよび細胞内動態制御を担保することでゲノム編集分子 (Cas9 RNP) を核までデリバリーするキャリア (amino-PRX) の構築および構造最適化、2) 組織選択性を付与する第二キャリアの調製、構造解析および有用性評価、3) amino-PRX の適用拡大 (他のゲノム編集分子への適用) 検討。1) の検討は順調に進み、in vitro および in vivo において世界中で汎用されている Cas9 RNP 導入用試薬である Lipofectamine CRISPRMAX よりも高効率かつ安全にゲノム編集効果を誘導可能なキャリアの構築に成功し、その成果を学会および国際誌に発表することが出来た。2) の検討においては、がんおよび眼に対する第二キャリアを合成し、amino-PRX/Cas9 RNP と混合後の細胞内取り込み効率について評価した結果、細胞内取り込み効率の向上は見られたものの、その向上効果は期待していたほど高効率ではなかったことから現在も検討を続けている。3) の検討は採用 3 年目に行う予定であったが、前倒しで検討することができた。その結果、amino-PRX は、Cas9 RNP 以外のゲノム編集分子のデリバリーキャリアとしても有用であることが示唆されたため、ゲノム編集分子デリバリーのためのプラットフォーム技術を構築することができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、amino-PRX および 組織選択性を付与する第二キャリアの有用性評価および構造最適化検討を予定しており、amino-PRX 構築の系では非常に良好な結果が得られた。組織選択性を付与する第二キャリアの構築検討においては、がんおよび眼に対する第二キャリアを合成し、amino-PRX/Cas9 RNP と混合後の細胞内取り込み効率について評価した。その結果、細胞内取り込み効率の向上は見られたものの、その向上効果は期待していたほど高効率ではなかった。このことから、現在リガンド修飾数やキャリア構造などの最適化検討を行っており、当初予定していた病態マウスにおける有用性評価には至っていない。しかしながら、採用 3 年目に行う予定であった適用拡大検討を前倒しで実施できており、さらに他のゲノム編集分子のデリバリーキャリアとしても良好な結果を得ている。これらの知見から研究全体の進捗状況を総合的に判断し、おおむね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度完了できていない組織選択性を付与する第二キャリアの構築検討を最優先事項として研究を進めていく。なお、第二キャリアの構造最適化には (今年度のトライ&エラーの経験からも) 多くの時間を費やす必要があることが予想されるため、当初予定していた in vivo 検討は採用最終年度に行う。Amino-PRX の適用拡大検討については非常に良好な結果が得られているため、ゲノム編集分子以外の核酸医薬やタンパク質性医薬に対する有用性評価も実施し、研究開始当初の計画以上に汎用性の高いデリバリープラットフォームの構築を目指す。
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