2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21J22027
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
今村 浩二 熊本大学, 自然科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 符号理論 / マトロイド / 線形符号 |
Outline of Annual Research Achievements |
マトロイドとは、線形代数における線形独立性の概念を抽象化した組合せ構造であり、ある公理を満たす集合とその部分集合族の組として定義される。符号とは、通信を行う際に、効率的かつ正確に情報を伝送するためのベクトルからなる集合であり、特に線形性を持つ符号は線形符号と呼ばれる。体という良い性質を持った代数上で定義される線形符号により、マトロイドを構成する方法は広く知られている一方で、ほとんどのマトロイドが体上の線形符号では表現できないことも知られている。本研究は、体の条件を弱めた環と呼ばれる代数上の線形符号を考えることで、体上では構成できない抽象的なマトロイドの具体的な解析を実現することを目的とする。 具体的な研究課題は、(1)ポリマトロイドの臨界指数の環上の符号を用いた類似物に関する極値問題の考察、(2)有限環上の符号を用いたマトロイド及びポリマトロイドの表現、(3)有限環上の符号を用いた秘密分散共有法の提案とそのアクセス構造の解析、の3つである。 本年度においては、初年度であるため、全課題に共通して重要となる、有限環上マトロイドが表現できるための条件付け、及び有限体上表現不可能なマトロイドの表現について考察した。計算機を用いた探索により、階数4以下の広く知られたいくつかの主要なマトロイドを位数4の整数剰余環上で表現することに成功し、それらの結果から、有限環上の符号がマトロイドを表現するための必要十分条件を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、位数4の整数剰余環を用いて、有限体上表現不可能なマトロイドに表現を与えることができ、さらにマトロイドが得られるための必要十分条件を明らかにすることができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究をポリマトロイドへと一般化し、ポリマトロイドの表現、並びに極値問題について考察する。計算機を用いて具体例を構成することから始め、得られたデータを基に、理論的な考察を行う予定である。
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