2022 Fiscal Year Annual Research Report
異種キメラオルガノイドを基軸とした、樹状分岐構造をもつヒト腎臓オルガノイドの作製
Project/Area Number |
22J10532
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井上 大輔 熊本大学, 医学教育部, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
Keywords | 腎臓オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
尿産生機能をもつ腎臓オルガノイドは、慢性腎臓病に対する新規治療法の基盤となる。腎臓では、尿産生の基本単位であるネフロンが規則正しく並び、樹状分岐する集合管と接続する。この樹状分岐構造によって尿が集約され、尿管へと排泄される。したがって、機能する腎臓オルガノイドを創出するには、この構造の再現が不可欠である。所属研究室ではマウスでその再現に成功した一方で、ヒトにおける再現には至っていなかった。 当該年度では、マウスとヒトの腎臓前駆細胞から作製するキメラ腎臓オルガノイドを評価系として用いながら、シングルセルRNAシークエンス解析から得られた手がかりをもとに、二種類のヒト腎臓前駆細胞の誘導を最適化した。UMAP上で一致する程度まで遺伝子学的類似性を高めることができた。その結果、腎臓発生上重要ないくつかの構造の再現に成功した。今後は培養条件に検討を加えることや第三の間質前駆細胞を組み合わせることで、完全にヒトiPS細胞由来の腎臓オルガノイドに樹状分岐構造を付与することを目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三種類のヒト腎臓前駆細胞のうち二種類を用いて腎臓発生上重要な構造を再現することに成功した。また、これらの前駆細胞をシングルセルRNAシークエンスでヒト胎児腎臓と比較すると、UMAP上で一致する程度まで類似していることを確認した。以上より概ね順調に進行していると評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
培養条件に検討を加えることや三つめの前駆細胞を組み込むことで、ヒト胎児腎臓とのより高い類似性を備えたオルガノイド作製を目指す。
|