2022 Fiscal Year Annual Research Report
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21J23396
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
野津 昂亮 宮崎大学, 医学獣医学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 牛伝染性リンパ腫 / 抵抗性牛 / BoLA-DRB3*009:02 / BoLA-DRB3*016:02 / 遺伝子検査 / アリル特異的PCR / TaqManアッセイ / デジタルPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
牛伝染性リンパ腫抵抗性遺伝子(DRB3*009:02)を保有する牛 (抵抗性牛)は、牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)に感染しても血中のプロウイルス量が極めて低いことが知られている。近年ではこの特性に着目したBLV感染症の防疫戦略が検討されている。本研究は、抵抗性牛を利用したBLV感染症の防疫戦略の為のツールとして、抵抗性牛をより簡易的かつ正確に判別できる遺伝子診断法を開発することを目的としていた。2021年度に、DRB3*009:02特異的TaqMan Assayの開発に成功し、研究当初の目的を達成したため、現在応用研究を進めている。 2022年度以降は、1. 本アッセイを用いた国内におけるDRB3*009:02保有牛の割合調査、2. BLV感受性遺伝子の簡易同定法の開発、3. 本アッセイの生産現場での実用化に向けたプロトコルの改良を行うことを目標としている。2022年度はその内の1と2を達成した。 1においては、国内におけるDRB3*009:02保有牛の割合調査を行った。その結果国内のDRB3*009:02保有牛の割合は、県ごとに異なることを発見した。これは、BLV抵抗性牛を産生する為の育種戦略において、必要不可欠な情報である。本研究成果を国際学会で口頭発表、及び国際学術雑誌The Journal of Veterinary Medical Scienceにて論文発表をした。 2においては、BLV感受性遺伝子DRB3*016:01及び抵抗性遺伝子DRB3*009:02のアリルタイピングと、BLVのプロウイルス量の定量を同時に行うことのできる4色デジタルPCRを開発した。本研究成果を国際学術雑誌mSphereにて論文発表をした。 今後は、3. 本アッセイの生産現場での実用化に向けたプロトコルの改良を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画当初の目的であった、BLV抵抗性牛の簡易診断法の開発は2021年度に達成した。本研究論文は出版後、最も読まれた論文の1つであるとして、「WILEY Top Downloaded Article 2021」を受賞した。 その後立てた応用研究3題 (現在までの進捗状況に記載)について、今年度に2題、研究成果を出し、論文発表をした。研究成果を宮崎大学を通じてプレスリリースをし、また日本農業新聞にも取り上げられた。その結果、生産現場から反響があった。これらの研究成果が、着実に抵抗性牛を利用したBLV対策のハードルを下げつつあると言える。 以上の成果より、 “当初の計画以上に進展している”と自己評価する。また、これらの研究において、大量の牛のDNA検体を入手でき、またアリル特異的PCRの開発のノウハウを蓄積することもできたため、更なる応用研究に活用していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、BLV抵抗性牛同定アッセイの生産現場での実装に向けて、更なるプロトコルの改良を行う予定である。
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Research Products
(8 results)