2022 Fiscal Year Annual Research Report
下水処理場から放流される薬剤耐性菌と耐性遺伝子が水環境に及ぼす影響に関する研究
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22J14969
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
謝 暉 宮崎大学, 農学工学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 水環境 / 大腸菌群 / 大腸菌 / ESBL薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
下水処理水から単離したESBL産生大腸菌から河川のSTECへの耐性伝播実験を実施して,フィルターメイティングによる実験系から,プラスミドによるESBL薬剤耐性伝播が生じたとこを得られた。 〇 学会発表:伝播実験から結果を得られたため,第57回日本水環境学会年会で口頭発表した。【謝暉,小椋義俊,鈴木祥広.下水処理水中に生残するESBL大腸菌から河川由来の志賀毒素産生性大腸菌への薬剤耐性の伝播,第57回日本水環境学会年会,2023/3/17,口頭発表,愛媛大学開催】また,下水の処理過程におけるESBL産生大腸菌と大腸菌群の耐性率の変化や生残性について研究を実施して,ESBL産生細菌は低濃度ではあるが,放流水中にも生残しており,放流河川への拡散していること得られた。〇 論文投稿:ESBL産生細菌の残留性の結果を得られたため,国際ジャーナルで投稿した。いまrevision途中。【Disappearance and prevalence of extended-spectrum β-lactamase-producing Escherichia coli and coliforms in the wastewater treatment process. Hui Xie, Kana Yamada, Soichiro Tamai, Hiroshi Shimamoto, Kei Nukazawa and Yoshihiro Suzuki. Environmental Science and Pollution Research】全ての結果を学位論文にまとめた。2023年6月提出予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在,dc2申請書に記載された通り,研究は一歩一歩進んでいる。 その途中に,細菌汚染による菌種の誤認があったため,申請書の【研究方法・研究内容】の1)大腸菌群から大腸菌への薬剤耐性伝播試験は大腸菌から大腸菌への薬剤耐性伝播試験に変更された。 その他は順調に実験が進んでいる。実験計画を以下に示す。まず,下水処理場の塩素消毒済の下水処理水から大腸菌,まだ,河川水からSTEC選択培地の陽性株を単離した。MALDI-TOF MS分析によって菌種同定された株について, 13種類の抗菌薬に対する薬剤耐性試験を実施した。そして,下水処理水の単離株からESBL産生大腸菌の6株をドナー株とした。RFP耐性持つSTEC株(STEC 63,STEC 4,およびSTEC 9)計3株をレシピエント株とした。下水処理水から単離したESBL耐性持つ大腸菌からSTECへの耐性伝播をフィターメインティングで実施した。32μg/ml アンピシリン(ABPC)と25μg/ml RFP両方が含有する MacConkey培地でスクリーニングし,生育したコロニー数から薬剤耐性の発現を判定した。なお,ABPC 含有およびRFP含有CHROMagar ECC培地に伝播前のドナー株とレシピエント株を計数した。ドナー株ESBL産生大腸菌からレシピエントのSTECにABPC耐性が伝播したことが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,下水処理水から単離したESBL産生大腸菌から河川の感受性自然大腸菌への耐性伝播について検討する。また,感受性大腸菌から耐性に変化した前後における遺伝子伝播を追跡するため,暴露前後の株について次世代シーケンサー(NGS)による全ゲノムを解析し,病原体の染色体やプラスミドのコーディング位置などの遺伝情報に従って,含まれている薬剤感受性特性とさまざまな病原体の関係が分析され,感染源が追跡される。下水処理水の影響を直接受けている河川を調査し,下水処理放流水,河川の上流と下流,河床付着物から大腸菌をコレクションし,薬剤耐性試験,薬剤耐性プロファイリング,ゲノム解析の結果について検証を行う。
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