2021 Fiscal Year Annual Research Report
乱流と磁場を持つ分子雲コアの収縮および衝突における連星の形成条件と回転構造の解明
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21J23102
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高石 大輔 鹿児島大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 連星形成 / 原始惑星系円盤 / 磁気流体力学 / 磁場 / 乱流 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の銀河系内の観測から、太陽質量程度の若い星の半数以上は連星であることが明らかになっている。そのため、太陽のような単一星の形成進化過程のみならず、連星の形成進化過程を理解することは星形成過程の理解にとって非常に重要である。本研究の目的は、近年の観測が示す現実的な星形成環境で連星の形成条件および連星の回転構造の時間進化を解明することである。 本年度は、乱流と磁場を持つ分子雲コア同士の収縮・衝突過程を3次元非理想磁気流体シミュレーションを用いて長時間計算するために必要な計算コードや初期条件を準備した。そして、テスト計算としてまず衝突過程を考慮しない、乱流と磁場を持つ分子雲コアの収縮から原始星形成後1万年程度までの長時間計算に成功した。その結果、分子雲コアの磁場のエネルギーが分子雲コアの乱流のエネルギーに比べて小さい場合、原始星近傍から単極アウトフローが駆動するという興味深い現象を発見した。一方で、分子雲コアの磁場のエネルギーが乱流のエネルギーと同程度の場合は双極アウトフローが駆動することも分かった。原始星近傍から駆動するアウトフローのこのような形状の違いは、原始星やその周囲に形成される原始惑星系円盤への質量降着や角運動量輸送に大きな違いをもたらす。そのため、駆動するアウトフローの形状の違いを理解することは原始星や原始惑星系円盤の形成進化過程を理解する上で非常に重要である。この予期せぬ発見については現在査読論文を執筆し投稿準備を進めている。また、当初計画していた通り、衝突過程を含めた長時間計算を現在すでに実行している。来年度はこのデータを解析し、連星の形成条件や回転構造の時間進化を調べていく。さらに、本年度得られた単極アウトフローの駆動条件に関する詳細な物理メカニズムの解明も目標に研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画にあったシミュレーションと論文執筆を計画通りに行うことができた。また、分子雲コアの磁場のエネルギーが分子雲コアの乱流のエネルギーに比べて小さい場合、原始星近傍から単極アウトフローが駆動するという興味深い現象を発見した。この発見から今後の新しい研究の着想も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は研究計画に記載した通り昨年度実行したシミュレーション結果の解析を進め、乱流と磁場を持つ分子雲コア同士の収縮・衝突過程における連星の形成条件を解明する。また、引き続き計算を進めることで、形成した連星や原始惑星系円盤の回転構造の時間進化を調べる。さらに本年度は、2021年度に発見した単極アウトフローに関して、その駆動条件を解明する。
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