2023 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管内皮機能の向上に向けた有酸素性運動の急性効果およびトレーニング効果の解明
Project/Area Number |
22KJ2537
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
坂本 琳太郎 札幌医科大学, 札幌医科大学大学院保健医療学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 脳血管内皮機能 / 有酸素性運動 / 血流依存性血管拡張反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,脳血流の増加を伴う単回の有酸素性運動および有酸素性運動トレーニングが脳血管の内皮機能の向上に寄与するかを明らかにすることを目的とした.ヒトの脳血管内皮機能は,内頸動脈の拡張反応を用いて非侵襲的に評価した.本目的を達成するために,実験1「脳血流の増加を伴う単回の有酸素性運動が内頸動脈の拡張反応を向上させるか」および実験2「脳血流の増加を伴う有酸素性運動トレーニングが内頸動脈の拡張反応を改善させるか」を実施した. 2023年度は,2022年度に得られた実験1の結果を研究論文として発表した.具体的には,若年成人を対象に有酸素性運動を実施し,運動前後に内頸動脈の拡張反応を測定した.有酸素性運動は,脳血流増加を伴う条件および脳血流増加を伴わない条件とした.その結果,脳血流増加を伴う運動後に,運動前と比較して,内頸動脈の拡張反応が増加した.一方、脳血流増加を伴わない運動後では,内頸動脈の拡張反応は運動前より変化はなかった.以上より,脳血流の増加を生じる有酸素性運動が,脳血管内皮機能を急性に改善する可能性が示唆された. 実験2に関して,2023年度に全データの取得が完了した.実験2では、若年男性を対象に2週間の有酸素性運動トレーニングを実施し,トレーニング前後にて内頸動脈の拡張反応を測定した.運動は,実験1と同様に,脳血流増加を伴う条件および脳血流増加を伴わない条件とした.その結果,両条件にてトレーニング前後で,内頸動脈の拡張反応は変化しなかった.実験2で得られた結果は,2024年度以降に研究発表を予定している. 本研究の総括として,脳血管内皮機能は,脳血流の増加によって急性に改善するものの,トレーニングによる改善効果を得るには,より長期的な介入が必要である可能性が示された.今後はより効果的な運動プロトコルの構築に向けた検討を進める予定である.
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