2022 Fiscal Year Annual Research Report
Wntの拡散は模様のできる範囲を決めているのだろうか?
Project/Area Number |
21J00655
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
福冨 雄一 東京都立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 模様 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ミズタマショウジョウバエの翅の水玉模様において、促進因子(wingless, Werner et al. 2010 Nature)と抑制因子の2種類が拡散して模様形成範囲を決めているということの実験的な証明を目指している。抑制因子の候補としてはDWnt4遺伝子が考えられ(Koshikawa et al. 2015 PNAS)、昨年度よりその機能の解析を目指してきた。昨年度は、CRISPR Cas9システムを用いたノックアウトを計画し、インジェクションを行った当該世代で観察しようとしたが、インジェクション個体の生存率が低く、表現型に異常をきたす個体を得ることができなかった。gRNAとCas9タンパク質(CRISPR Cas9システムに必要なコンポーネント)をそれぞれ発現させるトランスジェニック系統を作成して掛け合わせてノックアウトするという方針に切り替え、今年度、Cas9タンパク質を発現させる系統の作成に成功した。この結果に関して、シカゴで行われた64th Annual Drosophila Research Conferenceで発表した。 拡散因子の拡散具合は温度に依存することがあり、それが模様の範囲の決定に影響することも考えられる。温度と模様の範囲の関係性を調べることも「模様のできる範囲がどのように決まるのか?」の解明に必要と考えたので、ミズタマショウジョウバエを用いて模様の範囲と温度の関係性を調べた。その結果、模様の範囲と翅の大きさには温度による可塑性があるが、それらの制御機構が独立していることが示唆された。ここで得られた結果について、プレプリントサーバーであるbioRxivに投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミズタマショウジョウバエでトランスジェニック系統を作成するプロトコルは発表されている(Shittu et al. 2020 Methods Protoc.)が、成功率が発表されている値(大きいベクターのゲノム中への挿入では500卵に1個体)より低かった。Cas9発現系統の場合、1000個以上の卵にインジェクションして遺伝子組み換え体が1個体得られるほどだった。この成功率の低さのためにインジェクションの工程でトラブルシューティングを余儀なくされ、時間を取られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、まず、DWnt4遺伝子のCRISPR Cas9システムを用いたノックアウトのためのgRNA発現系統の作成を行う。そして、すでに作成されているCas9発現系統と掛け合わせることでDWnt4遺伝子のノックアウトを目指す。本年度、トランスジェニック系統の作成に成功しているので、gRNA発現系統の作成は可能だと考えている。 水玉模様の形成にWinglessタンパク質の拡散が必要であるかの検証については、昨年度までキイロショウジョウバエを用いた推定を行ってきた。拡散しない人工のタンパク質であるNRT-Wgしかゲノム中に持たない系統の個体とコントロール系統の個体を比較することでとある結果が得られている。2023年度はミズタマショウジョウバエでNRT-Wgしかゲノム中に持たない系統を作成予定であり、インジェクションは北海道大学環境科学院の酒井颯汰さんが担当する。 模様の範囲と翅の大きさの温度による可塑性については、論文雑誌へ投稿済みでただいまリバイス中であり、本年度でアクセプトを目指している。
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Research Products
(3 results)