2022 Fiscal Year Annual Research Report
漂着軽石の生産・運搬・堆積過程の解明:過去の黒潮流路の復元に向けて
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22J14775
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
平峰 玲緒奈 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 漂着軽石 / 火山ガラス / EPMA分析 / 海底火山 / 火砕流堆積物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本列島周辺域における漂着軽石の挙動を時空間的に明らかにし,漂着軽石はどのようにして生産されるのか(生産過程),どのような漂流経路・漂流期間を持つのか(運搬過程),どのような条件が揃うと堆積するのか(堆積過程)の3点を解明することである.さらに,漂着軽石による実証的な過去の黒潮流路の復元を目指す. 2022年度は,黒潮が沖合に流れる5地点(鹿児島県龍郷町手広海岸,宮崎県宮崎市一ツ葉海岸,高知県室戸市灌頂ヶ浜,静岡県下田市吉佐美大浜,千葉県銚子市君ヶ浜)で採取した漂着軽石について,高知大学海洋コア総合研究センターの共同利用機器であるEPMA(電子プローブマイクロアナライザー)を使用して軽石に含まれる火山ガラスの主成分化学組成分析を実施し,漂着軽石の給源火山を検討した.その結果,5地点の計603個の軽石のうち513個が流紋岩質,75個が粗面岩・粗面デイサイト質,15個がデイサイト質であった.漂着軽石の給源火山については,一部の軽石が姶良カルデラなどの大規模火砕流堆積物等を有する火山に由来すること,近年噴火が発生した海底火山(西表島北北東海底火山,福徳岡ノ場火山)に由来することがわかった. さらに,福徳岡ノ場2021年噴火により軽石が大量に漂着した沖縄本島,石垣島,奄美大島,喜界島等で現地調査を行い,各地域において軽石の漂着量や粒径分布を前年のデータと比較することで,漂着軽石の堆積過程を検討した. 本年度の研究成果は漂着物学会や日本地理学会等の学会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
漂着軽石やそれらの給源候補となるテフラに関する調査,化学組成分析等は概ね当初の予定通りに進んでいる.また,研究成果は学会で発表しており,現在は論文投稿の準備を進めている.そのため進捗状況は (2) おおむね順調に進展している と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,2022年度の分析で足りなかった部分の追加分析を実施予定である.また,非破壊かつ短時間で分析可能なポータブルXRFを用いた分析も実施し,大量の軽石の効率的な分析を試みる.得られた成果は国内外の学会や論文で発表し公表する.
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Research Products
(11 results)