2022 Fiscal Year Annual Research Report
生態地理学的アプローチを用いた熱帯果樹ドリアンの収量変動メカニズムの解明
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22J21299
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
江口 碧 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 熱帯果樹 / フェノロジー / マレーシア / ドリアン / 収量変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱帯果樹ドリアンの収量には豊凶や地理的な差異がみられることが経験的に知られているが、そのメカニズムは不明である。本研究では、生物の環境応答の地理的な分布を明らかにする生態地理学的アプローチを用いて、ドリアンの収量変動メカニズムに対して東南アジアの熱帯雨林において数年間隔で発生する乾燥と低温が関与しているという仮説を検討する。具体的には、マレーシアを対象に現地調査と文献調査を行い、ドリアン収量の空間的・時間的な特徴を明らかにするほか、それらの収量変動に影響を与える乾燥と低温の強度や時期を特定することで、収量変動を説明するモデルの構築を試みる。2022年度は、調査地を決定し、収量に関するデータの収集を開始した。半島マレーシア北部、中部、南部に位置する3か所のドリアン農園を視察し、サンプル数が比較的多く、品種のドリアンと雑種のドリアン(Durian Kampung)の両方が栽培されているためそれぞれの種の特徴が比較可能であることから、ジョホール州に位置する農園を調査地とした。現地調査では、110本のドリアン(品種55本、Kampung55本)を対象とし、それぞれの個体について花芽の初確認日、開花日を記録したほか、平均2週間に1回のペースで花序の単位時間当たり確認数を計測した。また、収量に影響する可能性のある要因として、胸高直径を測定し、気象要因(気温、湿度、降水量) の記録を開始した。その結果、2023年1月中旬頃に初めて花芽が出現し、その後2週間で全体の75%で花芽が確認された。これらの花芽は2月中旬~3月初旬にかけて開花した。また、花序数は花芽が確認されてから開花までは有意に増加したものの、開花後は大きく変化しないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
収量に関連するデータの収集に適した調査地を決定し、調査体制を整備することができた。また、花芽の出現から果実の成熟までのデイリーベースでの調査も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象の農園ではドリアンの収穫期が年2回(5-7月, 12月)あるとされているため、2023年度中に2シーズン分の収量調査を実施する予定である。これらのデータを用い、シーズンごとの収量に対する気象の影響や、相対的に収量が多い木の条件について分析する。また、現地調査とは別に、マレーシア農業省が公開している果樹統計データのドリアン収量とマレーシア気象局の気象データを用いて、統計解析や地理情報システムにより、長期・広範囲のドリアン収量の特徴を明らかにする。
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