2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22KJ2560
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
林 昌子 東京都立大学, 人文科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 国際学会での研究発表 / ロンドン大学客員PhD学生としてリサーチ活動 / 国際学術期間への書評投稿 / 国際学会への参加 / 福祉国家研究に関する新発見 / トーニー研究に関する新発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
6月にAsian Practical Theology International Conferenceで研究発表を行った。9月から3月までは、イギリス・ロンドン大学ゴールドスミス校に客員博士課程学生(Visiting PhD Researcher)として留学した。その際には、ゴールドスミス校での指導者であるベイカー教授の指導の下、ウィリアム・テンプル財団主催の学術ミーティングや、その他の団体主催の講演会などに参加した。 留学中、ウィリアム・テンプル財団が運営するウェブ上の学会誌に、書評 'Christopher Pierson (2021) The Next Welfare State?: UK Welfare After COVID-19' が掲載された。また、オックスフォード・ブルックスカレッジで開催された学会Church for Change: Exploring 300 years of Methodist Social Justiceに参加し、研究者たちとの交流を深める中、新たな知己を得た。 インプット的なリサーチに関しては、ロンドン大学の中枢としての図書館であるSenate House Library, イギリス国教会のロンドンにおける本拠地Lambeth Palace Library, LSE図書館アーカイブで1次資料等の発掘に努めた。その結果、研究対象であるR.H.トーニーに関する資料からは、彼の著書The Acquisitive Society に関する重大な考察につながる発見をすることができた。 W・ベヴァリッジの資料からは、1942年ベヴァリッジ報告が公になる頃、ベヴァリッジが独自の社会運動を興していたことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、博士課程2年次にロンドン大学ゴールドスミス校に留学することを博士課程の研究計画書に記していた。その計画どおり、2023年9月から半年間、それを実行することができた。その間には、LSE大学図書館やランベス宮殿図書館等のアーカイブで、福祉国家およびトーニーに関するリサーチを行うことを計画していたが、それらが実行できた。得られた結果は、予想以上のものだった。 ゴールドスミス校での指導教授に紹介されたロンドン中心部にある聖マーティン教会は、キリスト教社会主義の実践の場としての伝統のある教会である。その教会で、司祭たちやメンバーたちとその活動への関わりを深めることで、新たな人脈を構築することもできた。 6月に行ったAsian Practical Theology International Conferenceで研究発表は、前年度中から学会からアプローチを受けて発表を行うことになったもので、当初の研究計画には含まれていなかった。しかしこれも、自分の研究を国際的に知ってもらう良い機会になると思い、予定外の研究発表ではあったが行った。そのことで、特にアジアの研究者たちとの交流を深める好機となった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、2024年度は博論執筆およびその完成に専念するということになっている。その計画に変更はないが、そのやり方として、ケンブリッジ大学ウェスレーハウス校で、福祉国家、トーニー、キリスト教社会主義の研究を継続する道が開かれた。これは、2023年度のロンドン大学留学中に築いた人脈により得られることになった好機会であるので、当初の計画にはなかったことではあるが、遂行する予定である。 2023年度のロンドン滞在でのリサーチにより、予想以上の研究結果が得られた。しかしそのことにより、研究課題はさらに増えてしまった。これはもちろん喜ばしいことだが、一方で、このことによって、さらにイギリスでリサーチをする必要性が生じることにもなっている。
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