2022 Fiscal Year Annual Research Report
二次構造制御型DDSキャリアペプチド-PPI阻害ペプチドの細胞内輸送ツール開発-
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22J23111
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
平野 元春 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞膜透過性ペプチド / タンパク質間相互作用 / ヘリックス・ループ・ヘリックス構造 / 両親媒性ペプチド / ヘリカルペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内のタンパク質間相互作用(Protein-protein interaction; PPI)は、転写や翻訳、シグナル伝達など多くの細胞制御において重要な役割を果たしているが、ガンをはじめとした多くの疾病の発症にも関与している。そのため、細胞内PPIを阻害可能な分子は次世代の分子標的薬として注目されており、特にヘリカルペプチドはPPI阻害薬のモダリティとして期待されている。しかし、多くの場合ペプチドは細胞膜を透過することができず、細胞内で十分な機能を発揮することができない。そのため、細胞膜透過性ペプチド(Cell-penetrating peptide; CPP)を利用したPPI阻害ペプチドの細胞内輸送が行われている。一方で、カチオン性残基を豊富に含むCPPと疎水性残基を多く持つPPI阻害ペプチドを連結させると、両親媒性(カチオン性/疎水性)が高まり、細胞膜障害による毒性の向上が懸念される。そのため、顕著な毒性の向上を伴わず、PPI阻害ペプチドを効率的に細胞内へ輸送することは重要である。 本研究では、構造モチーフとしてHelix-loop-helix(HLH)に着目し、細胞内外の環境に応じて構造が変化することで、PPI阻害ペプチドの効率的な細胞内輸送が可能とするキャリアペプチド、デリバリー手法の開発を行った。PPI阻害の標的として、ビタミンD受容体(VDR)を対象にPPI阻害ドメインと細胞膜透過ドメインを結合させたペプチドの設計・合成を行った。PPI阻害ドメインには、VDRに結合して転写活性化を阻害することが報告されているSRC2-3を使用し、細胞膜透過性ドメインとして、これまでに見出した両親媒性CPPを使用した。これらのペプチドに対してCDスペクトル測定、およびAlphaFold2を利用した構造解析を行い、フローサイトメトリーによる細胞膜透過性評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VDRを標的タンパク質として、PPI阻害が可能なHLHペプチドの開発を行った。細胞膜透過ドメインとして、これまでに見出した両親媒性CPPを基に両親媒性を維持したまま配列を組み替えた5種類のCPPを設計・合成した。また、VDRに結合することで転写阻害が可能なペプチド(SRC2-3)をPPI阻害ドメインとし、グリシンリンカーを介して細胞膜ドメインと連結させた分子を設計・合成した。各ペプチドのCDスペクトル測定を行った結果、細胞膜透過ドメイン、およびPPI阻害ドメインのみではヘリカル構造を形成せず、連結させた場合のみヘリカル構造を形成するペプチドを見出した。また、タンパク質立体構造予測ツールAlphaFold2を利用し、ペプチドの立体構造を予測したところ、HLH構造を形成していることが示唆された。さらに、蛍光標識化したペプチドを用いてフローサイトメトリーメトリーによる細胞膜透過性評価を行った結果、HLH構造を形成したペプチドはSRC2-3と比較して約10倍強い細胞内蛍光強度を示し、細胞膜透過性が向上していることが示唆された。以上より、本年度は細胞膜透過性ドメイン、およびPPI阻害ドメインを連結させ、HLH構造を形成することが予想されるペプチドの合成を達成し、SRC2-3よりも細胞膜透過性が向上していることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、ルシフェラーゼレポーターアッセイ、およびRT-qPCRによって、本年度に見出したペプチドのVDRに対する転写阻害活性評価を行う。また、VDRの発現・精製を行い、蛍光偏光アッセイや等温滴定カロリメトリーによるVDRとの結合親和性評価を行う。さらに、ペプチドの両末端にドナー分子(蛍光分子)、およびアクセプター分子(蛍光分子、またはクエンチャー)を導入し、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した構造解析を行い、構造の最適化を検討する。
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